電験2種

電験2種の難しいところはどこ?|一次は理論の数学、二次は計算問題が山場【電験二種】

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

前回の記事では、予備校が要るかどうかは「試験の戦略と自分の特性が噛み合っているか」で決まる、という話をしました。噛み合っているかを確かめるには、まず電験2種のどこが難しいのかを知っておく必要があります。

今回は、電験2種の一次試験と二次試験で、それぞれどこが山場になるのかを整理します。結論から言うと、一次は理論科目の数学、二次は計算問題が山場になります。一次理論で必要になる数学の単元は、中学・高校・大学のどの段階で習うものかを星取り表にしました【PR】。

📌 この記事でわかること

  • ✓ 電験2種の一次試験は、理論以外なら電験3種の貯金で戦えること
  • ✓ 一次理論で必要な数学7単元を、中学〜大学のどこで習うかで整理した星取り表
  • ✓ 二次試験の計算問題の割合(令和4〜7年度の公式問題で数え直した結果)
  • ✓ 読者の方からいただいた「二次の勉強は一次に通じるか」という質問への回答

一次試験は、理論以外なら電験3種の貯金で戦える

電験2種の一次試験は、電験3種と同じ理論・電力・機械・法規の4科目です。4科目とも3種の延長線上にありますが、3種の知識がどれだけ使えるかは科目によって大きく違います。

電験2種の取得計画を立てる前に知っておくべきことで科目ごとに整理したとおり、電力と機械は知識問題が中心です。3種の知識を深掘りして周辺知識を足していく勉強になり、3種で8割取れるレベルなら、2種でも合格圏の6割に届くくらいの感覚でした。

法規は特別高圧の内容が中心になるので、3種で覚えた数値はそのまま使えません。ただし覚え直す範囲が変わるだけで、暗記で対応するという勉強の仕方は3種と同じです。

理論だけは、ほとんど新しく学び直すことになる

理論は事情が違います。電験3種の理論の範囲は2種にまるごと含まれていますが、2種ではその先にガウスの法則、ビオ・サバールの法則、微分方程式で解く過渡現象、分布定数回路といった単元が加わります。

私自身、3種が終わってすぐに2種の過去問を見たとき、電力・機械・法規は何とかなりそうだと感じた一方で、理論だけは途方に暮れました。電験2種理論の勉強法にも書きましたが、物理現象は理解できても、それをどう式に落として解けば良いのかが分からない、という壁です。

この壁の正体は、ほとんどが数学です。微積分は当たり前のように使いますし、複素数の計算も文字が多い中で進めるのが普通になります。

理論の数学を「どこで習うか」で星取りしてみた

一次理論で必要になる数学の単元を、中学・高校(文系)・高校(理系)・大学のどの段階で主に習うかで整理しました。比較のため、1行目に電験3種の計算も入れています。

単元 中学 高校 大学 力の入れどころ
文系 理系
(参考)電験3種の計算 ★ ★ —
複素数計算 ★ ☆ ◎
微積分 ☆ ★ ☆ ◎
微分方程式 ★ ◎
フェーザ表示 ☆ ★ ○
ベクトル表示 ☆ ★ ○
行列 ☆ ★ ○
極限 ★ △

★=主に習う段階、☆=一部を習う段階。高校の区分は学習指導要領の改訂で科目名や文系・理系の扱いが変わっているため、「文系でも一般に習う範囲か、理系で習う範囲か」のおおまかな区分で示しています。

電験3種の計算は、文字式の変形・連立方程式・三角比・複素数の四則演算くらいで、中学から高校文系の範囲に収まります。これに対して2種の理論は、★の多くが高校理系と大学の列にあります。3種から2種へのギャップは、数学が「高校文系」から「高校理系・大学」へ一段上がることだと言い換えられます。

◎の3単元は、2種の理論で毎年のように使う

力の入れどころを◎にしたのは、複素数計算・微積分・微分方程式の3つです。いずれも2種の理論で出番が多く、ここが弱いと問題文を読んでも立式ができません。

  • ✓ 複素数計算:交流回路の計算全般。3種と違い、数値ではなく文字のまま計算を進める問題が増えます
  • ✓ 微積分:電磁気(ガウスの法則、ビオ・サバールの法則)と過渡現象。三角関数や指数関数の微積分は高校理系の範囲です
  • ✓ 微分方程式:RL・RC回路の過渡現象。高校では習わないので、多くの人にとって初めて出会う単元になります

微積分がどこで使われるかは電験で微分積分はどこで使う?に、過渡現象を微分方程式ではなくラプラス変換で解く方法は過渡現象をラプラス変換で解くのは電験2種レベルだった件についてにまとめています。

○にしたフェーザ表示とベクトル表示は、3種で一度触れている分、とっかかりはあります。行列は四端子定数や対称座標法で形が出てきますが、2種で必要なのは2×2・3×3の計算までと考えています(サラスの公式はad-bcの発展形で覚えられる)。

ケンタ
ケンタ
私は電気科の出身ではありません。以前センター試験の数学ⅠA・ⅡBを解き直したときは96点・100点で(センター試験を再攻略した記事)、高校数学の貯金があったから2種の理論を独学で進められたのだと思います。

数学を学び直すなら、2種に必要な単元だけに絞った参考書から

高校の参考書を一通りやり直そうとすると、電験に関係のない単元が多すぎて、どこを飛ばせば良いかの仕分けができません。私がおすすめしているのは、電験2種に必要な数学だけを切り取った参考書です。

中でも「いちばんよくわかる 電験2種数学入門帖」は、三角関数・複素数・微積分・微分方程式・ラプラス変換に絞って解説しています。上の表で◎にした3単元がすべて入っていて、Q&A形式で数学の公式を電気の現象に当てはめるところまで説明しているためです。

もう1冊の「電験2種電気数学」との比べ方は、管理人がお勧めする数学の参考書に書いています。

二次試験は、計算問題が山場になる

二次試験は記述式で、電力・管理(6題中4題を選択・120分)と機械・制御(4題中2題を選択・60分)の2科目です。どちらも1問あたり30分で解く計算になります。

令和4〜7年度の4年分について、試験センターが公開している問題冊子で、計算を含む問題の数を数え直してみました。

  • ✓ 電力・管理:24題中10題(1年あたり平均2.5題/6題)
  • ✓ 機械・制御:16題中16題(すべての問題に計算が含まれる)

※「数値や式を求めよ」という小問を1つでも含む問題を「計算を含む」として数えました。空欄に数値を入れる穴埋めや、統計の数値を知識として答える小問は論説に含めています。

機械・制御は、論説の対策をするか考える余地がほとんどありません。電験1種の二次試験で私が取った計算特化の戦略は、2種の機械・制御ではそのまま「そうするしかない」形になっています。

電力・管理は、計算だけでは4題を埋められない年がある

電力・管理は6題中4題を選ぶので、計算を含む問題が2題しか出ない年は、残りの2題を論説で埋める必要があります。電験2種二次試験の攻略方法を書いた当時は、平成の過去問から計算問題を平均3.2題と見積もっていましたが、直近4年は2.5題でした。

それでも、私のおすすめは計算問題を軸にすることに変わりありません。計算問題は使う公式と解き方の流れが似た問題が繰り返し出ますが、論説は知識があるかないかで決まり、同じ問題が出るまでに年数が空きやすいためです。

論説は、一次試験の電力を固めたうえでキーワードをさらっておく程度に留め、計算で得点を稼ぐ形を私はとっていました。論説で部分点を取りにいく考え方は、論説問題から考える電験2種二次試験への挑戦にまとめています。

記述式なので、途中の過程まで採点される

二次試験の問題冊子には、計算問題について「導出過程が不明瞭な答案は,0点となる場合があります」と書かれています(令和4〜7年度の冊子で確認)。マークシートの3種や一次試験と違い、答えの数値が合っていても過程が書けていなければ点になりません。また、書けていても客観的に理解される解答の流れになっていないこともありえます。

計算の道筋を自分で組み立て、それを答案に正しい流れで書き切れることまでが二次試験の計算力です。解答の書き方は二次試験の解答の書き方で整理しています。

読者の方からの質問:二次の勉強は一次に通じるか

以前、問い合わせページからこんな質問をいただきました。一次と二次のつながりがよく分かる質問なので、ご本人の承諾を得て紹介します。

Q.電験3種を取得済みで、2種の勉強を始めたAさんから。一次試験は理論と機械から攻める予定で、今年から二次試験の機械・制御の対策も始めたい。二次試験(機械・制御)の勉強は、一次試験の理論・機械の勉強に役立つところはあるのでしょうか?

私からの回答は次のとおりです。

機械・制御はほぼ計算問題になります。そのため、一次理論が通じるところは計算力の部分です。理論の解法を覚えるというよりかは、立式後の計算スピードを上げていくことが、時間内に機械・制御を2問解けることにつながるかと思います(機械・制御では1問30分で解かないといけない)。

一次機械については、計算系の問題であれば、機械・制御で穴埋めでなくなる問題として出題されるようになるので、解法を覚えるのが役に立つと思います。

一次理論で身につけた計算力は、二次ではそのまま解くスピードになります。一次機械で穴埋めとして出た計算は、二次では穴埋めではない形で、自分で最後まで解く問題として出てきます。

一次と二次は、計算の部分でつながっています。計算を速く解く工夫は計算問題を素早く解くには?に書いています。

ケンタ
ケンタ
Aさんには「長い学習期間になるかと思いますが、体調を崩さずコンスタントに勉強に取り組んでください」ともお返ししました。電験2種は一次と二次で数年がかりになる人が多い試験なので、これは皆さんにもお伝えしたいことです。

次回は、電験2種をどう乗り切るかを考えます

一次は理論の数学、二次は計算問題が山場だと分かれば、次は自分がその山場に強いか弱いかを知る番です。電験3種で得点源だった科目や得意だった単元から、自分の特性を見ていきます。

次回は、自分の特性を知ったうえで電験2種をどう乗り切るかを整理する予定です(10月21日公開予定)。

まとめ

  • ✓ 一次試験の電力・機械・法規は、電験3種の貯金を深掘りする勉強で戦える。ギャップが大きいのは理論だけ
  • ✓ 理論のギャップの正体は数学。3種は中学〜高校文系の範囲だが、2種では高校理系〜大学の単元が中心になる
  • ✓ 力を入れるべきは複素数計算・微積分・微分方程式の3単元。学び直すなら2種に必要な単元に絞った参考書から
  • ✓ 二次試験は計算を含む問題が、電力・管理で平均2.5題/6題、機械・制御で全題(令和4〜7年度)
  • ✓ 一次の計算力は二次の解くスピードにつながる。一次・二次ともに計算部分が山場になる

電験2種の難しさは、試験範囲の広さよりも、計算の部分で一段上の数学を求められることにあります。この山場に自分が強いのか弱いのかで、独学で進めるか、外の力を借りるかの判断が変わってきます。

次回は、その判断のための自分の特性の見方を整理します。引き続き当ブログをよろしくお願いいたします!

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