皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
先日、電験1・2種二次試験の合格発表がありました。
基本的に合格できた人がtwitterでツイートするので、一見すると合格者がとても多い印象があります。そこで試験センターで合格者数を調べてみたら、ここ数年で二次試験者数はほぼ一定なのに対し、合格者数が約2倍になっていることが分かりました。
これは、電験2種保有人材(かつ現場にいる人材)が不足していることによる、見えない形での緩和策の1つなのかもしれません。
ということで、本日は短期的に見ると受験者にとって追い風が吹いている電験2種について、
- 取ることのメリット
- 取ろうとすることのデメリット
あたりをつらつらと書いていこうと思います。
電験2種は長期的に見るとどうなるの?
先ほど短期的にと敢えて限定して書きました。長期的に見るとどうなのか?と聞かれると正直何とも言えません。自分のいる立場によって言うこと変わってきますし、国が制度を誘導しようにも果たしてその通りになるかは誰にもわからならないからです。
これについては、今ある情報と過去からの流れで考えていくしかありません。
電験2種を取ることのメリット
電験2種は転職に有利
電験2種の合格者を増やす兆しがあると言っても、足元では特に地方で電験2種を必要とする太陽光発電所や風力発電所が着々と建設される予定です。なので、需要の増加が供給の増加を上回る形で電験2種が不足する状況が続くことになり、売り手市場が続くと思います。
このことをサポートするように、転職エージェントの方の採用現場の話を聞いていると、再エネに限らず電験2種への求人熱が高いことが分かります。
電験2種を取ると年収が上がる
転職するタイミングで(うまくいけば)年収が上がるのはその通りですが、転職をしなくても年収を上げることはできます。
転職しなくても年収が上がるロジックとしては、社内等級が上がる・役職が付くなどです。会社によっては電験を持っている人の中から管理職に選ぶ付けるところもありますし、そういう会社では電気主任技術者に選任されなくても年収が上がることがあります。
電験2種を取ろうとすることのデメリット
電験2種の勉強時間が無駄になる可能性あり
これはどの資格にも言えることですが、電験2種の勉強が会社の業務に直結するような方でない限り、言い方はキツイですが受験を断念した場合にこれまで費やしてきた時間は正直無駄になります。
電験の受験には年齢制限が無いこともあり、受験を断念するのは相当に勇気が要ります。加えて、一次試験の科目合格期間が延長される見通しなので、余計断念しくい状況になってきます。
10回以上受験してようやく合格した方もいる中で、どこに自分の撤退ラインを設けるかは初回を受験する際に決めておいた方が良いです。資格勉強をしなければ、それ以外のプライベートや年収アップにつながるかもしれない会社の業務周辺の知識獲得に時間を使えたかもしれなく、それほどまでに受験を途中で断念するというのはもったいないことです。
電験2種は電気管理技術者や電気保安法人への転職には使えない
過去記事でも書いていますが、転職したい業界(もしくは独立したい業界)が電気保安業界であれば電験2種はマストではありません。
加えて、電気保安の座学知識としては電験2種まで必要としていません。それよりかは、電気設備のことを肌間隔で理解して、即座に動けることや継電器試験ができることの方が重要です。
他方で、保安業界から転身した後の将来の保険としては電験2種は持っておいた方が良いです。
電験2種が必要な設備が相対的に減少していく?
最近、経産省の審議会で電気主任技術者制度に関する改正が何点か議論されています。その中でも、保安法人や電気管理技術者に外部委託することができる容量の上限が緩和されることに私は注目しています。
というのも、今はまだ電圧は7,000Vというこれまでの外部委託可能な電圧を緩和していませんが、容量の上限を変えてきているということは、電圧の上限を変えてきてもおかしくないからです。これは、電験2種が必要な現場が相対的に少なくなることを意味します。
・損害賠償保険があるとはいえそれを外部委託させられるのか
・受託会社はリスクを飲めるのか
・リスク込みの委託価格は果たして安いのか
という話も聞きます。
電験2種の難易度
重要なことを忘れていました。電験2種のメリット・デメリットに加えて、到達難易度も頭に入れておかないと、コストパフォーマンスの評価ができませんね。
これについては過去記事に説明を譲ろうと思います。
まとめ
電験2種を取ることの金銭的メリット、時間的デメリットを中心に考察してみました。色々な情報や考察を交えて、できるだけ客観的・中立的にまとめてみたので、是非皆さんも盲目的に電験3種に合格したから次は2種と進まずに、やりたいこと・重視していることを一度棚卸して考えてみてはいかがでしょうか。
それでは次回!
現在3種の勉強中で2種も視野に入れているのですが
もし主任無線従事者制度のようなものができたら無資格で仕事ができるようになると聞きました
電気主任技術者というもの自体日本特有のようですし何やら不安になってきました
現状ならかなり需要のある資格のようですが制度が根本から変化する可能性は実際のところあるのでしょうか
コメントありがとうございます!
お恥ずかしながら,主任無線従事者制度なるものは初めて聞きました。電気主任技術者制度も,主任技術者による教育を受けたものが現場で作業できるという点はこれに似ていますね。
そういう意味では既に規制緩和が起きていますが,選任制度が無くなるかはどうなんでしょうね?
日本の電気関係の事故率は諸外国に比べて極端に低いので,もう少し規制緩和しても問題ないかなと思っています。
https://den1-tanaoroshi.com/henceforward-denken2#i-7
厳格に作っておけば運用はそこそこ手を抜いても問題ないかと。
主任無線従事者制度は、主任に選任された資格者の監督下であれば無資格者も無線操作をできる、という制度です。資格者不要ではないので、現状の電気主任技術者制度とあまり変わりませんね。
>Tomさん
コメントありがとうございます!
他の資格者業務はあまり詳しくなかったのですが,電気(通信含む)業界に似たような主任制度があると,役人からすればそれだけで制度変更の障壁になって有難いですね。