【規制緩和】電気保安業界の大変革に待ったなし? | 電験1種の棚卸し

【規制緩和】電気保安業界の大変革に待ったなし?

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

昨年、2020年末にあった資源エネルギー庁の審議会で、電気保安制度に関する大きな整理がされました。中でも、

  • 電気保安業務に必要な実務経験期間の短縮
  •  試験ルールの一部変更
  •  外部委託可能な容量範囲の変更

については、当ブログの訪問者の方に直結する話ですので、所感も交えながらまとめてみようと思います。

twitterでは年末から盛り上がっていました。

今日の記事のネタバレをしてしまった気がしなくもないですが、早速行きましょう!

そもそも審議会って?

行政がルール(政令や省令など)を策定したり改正したりするにあたり、大学教授の専門家や事業者代表、弁護士などを集めて議論する場のことです。

 行政政策学については不勉強で、正確な記述をできずすみません。。。

要は、みんな(国民)が観ている前で公明公正に議論をして、みんなの意見をパブリックコメントで聞いてルールを決めていくというプロセスを踏んでいるということです。

最近の電力卸価格高騰との関係

一般紙でも取り上げられていた年末からの電力卸価格の高騰についても、審議会の決定事項が副要因的に絡んでいます。

価格高騰自体はLNG市場や電力事業者の行動パターンなどの様々な要因が重なったものですが、そこに至るまでの情報公開の環境整備ペナルティ料金設定は審議会の決定事項だったりしているようです。

審議会は乱立している?

一言に電気事業に関する審議会と言っても、開催されるところは

  • 経産省であったり
  • 資源エネルギー庁であったり
  • 電力・ガス取引監視等委員会であったり
  • 電力広域的運営推進機関であったり

します。

全然知らない外野からするとなんで同じ場で議論しないのか疑問に思います笑

自社の事業が絡むところは全てを見ておくべきですが、こと電気保安に限って言えば見ておくべきところは3つです。

それは電力安全小委員会と、その下部ワーキンググループである電気保安制度ワーキンググループ電気保安人材・技術ワーキンググループです。

審議会は注視すべき?

そもそも見ていても見ていなくても、自分の影響するところは自分で変えられない。という考えもあるかもしれません。それも一理ありますが、電気保安業界に飛び込もうとしている方にとっては将来を左右したり、そこに至るまでの転職などのプロセスが簡単に変わったりするので、たとえ世の中の流れを変えることができなくても、見ておくのに越したことはありません。

実際、昨年末は大きなことが整理されました。それでは見ていきましょう!

この記事の元ネタ

と、その前に今日の記事で取り上げる内容は次の審議会のものとなっています。

一度以下のリンクの資料を、議事要旨まで含めて全てご自身の目で確認しておくことをお勧めします。

審議資料もそうですが、議事要旨も読むことで今後の流れをある程度把握することができます。

電気保安業務に必要な実務経験の短縮

個人事業として行う電気管理技術者や、電気保安法人のもので働く保安業務従事者になるためには、これまで電験のランクごとに必要な実務経験が異なっていました。

第1条  規則第52条の2第一号ロの要件は、事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する実務に従事した期間(電気主任技術者免状の交付を受けた日前における期間については、1/2に相当する期間)が、通算して、次に掲げる期間以上であることとする。

  • 第1種電気主任技術者免状の交付を受けている者  3年
  • 第2種電気主任技術者免状の交付を受けている者  4年
  • 第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者  5年

しかし、今回電験1~3種保有者の必要な実務経験が全て3に横並びになりました。

電気主任技術者や電気管理技術者、電気保安法人の違いについては過去記事をご覧ください。
これまで収集してきた電気管理技術者・電気保安法人の情報を、電気主任技術者と比較しながら一度整理してみました。
イメージとしては↓のようになります。

とは言っても電験3種と2種については、講習を受ければという条件が付きます。

受講する先は大手保安法人限定になるようなことはなく、実務経験のある講師を確保することができれば基本的にどこでも大丈夫なようです。かつ、自社の社員に限定することはしないので、転職を考えている人が転職前の会社に在籍している間に受講することが可能です。

講座の内容は厳格に決められており、この内容を修了すれば晴れて実務経験期間が短縮されます。

この結果起こることとしては、電気保安の業界に入るためにより年数の短い電験2種に合格するインセンティブが皆無になったことです。

私に起こった変化

既に電験1種を取得している私としては、必要な実務経験についてのアドバンテージが無くなってしまいました\(^o^)/笑

別に1,2年の差を重要視していたわけではないですが、差が無くなってしまったのは何となく気持ちがよろしくないです。と言っても、実際に手を動かせるかどうかの実質的な経験の方が現場では重要なので、そういう意味では私には3年以上の修業が必要だと思います。

電工1種の実務経験期間も短縮

ちなみに電工1種も実務経験期間を短縮となりました。

と言っても、電工1種は免状交付までの実務経験期間となります。

試験合格から免状を取得する場合は、これまでは出身校が電気系であれば2年短い3年でしたが、今後は電気系であろうがなかろうが3年になります。これはうれしい??

試験ルールの一部変更

電験1・2種の科目合格制度が若干変更になります。

免状取得者の人数を上げるために、一次試験の科目合格を維持できる期間が2 or 3年延長になります。これにより、5 or 6年のうちに4科目に合格すれば二次試験に進むことができるようになります。

一次試験合格の留保期間は1年のまま

一次試験の科目合格期間を延ばしても、一次試験合格を留保できるのは1年のままです。

これはどういうことかというと、一次試験に合格した年かその次の年に二次試験に合格しないとゼロクリアになり一次試験からやり直しになるということです。

実効的な策ではない?

個人的には余り意味のない、というか考え方によっては不幸を生み出す改正かと思います。

まず、一次試験は二次試験に比べると前哨戦的な難易度の差があり、言い方がキツイですが、一次試験で手間取っているようであれば二次試験の合格はかなり難しいからです。

唯一言えるのは、法規科目は二次試験とほぼ関係ない科目なので、法規科目のまぐれ合格を留保できる期間が延びるのは嬉しいことですが、本質的ではありません。

逆に、科目合格の期間が延びることでスパイラーを量産してしまうことに繋がりかねなく、職場での業務という本当の実務の練度を上げる方に時間を割きにくくなってしまいます。

後述するように、再エネ業界では外部委託可能になる容量範囲が広がっていくので、自社の電験2種保持者を選任する現場がどちらかというと少なくなる傾向にあります。それを踏まえても電験1・2種が欲しいのかを改めて考える必要があります。

電験3種は?

ここまで書いていて思ったのは、上記の科目合格制度は3種を対象にしていない?ということです。

というのも、図では一次試験・二次試験という書き方をしているので、2種と1種のことだよな?と思うのですが、スライドのタイトルが電気主任技術者試験と2種と1種に限定していないからです。

多分、3種は現状維持のハズ。でないと3種の試験合格者がかなり増加し、免状の価値低下が半端ないことになりなりそうです…

外部委託可能な容量範囲の変更

昨今サイトが爆発的に増えている再エネは、これまでにも外部委託が可能な範囲が段階的に広がってきました。

太陽光発電所で言うと、直近では7,000V以下かつ2,000kW未満が上限でした。それが今回、7,000V以下であれば5,000kW未満までに緩和することになりました。

とは言え、一般送配電事業者がそこまでの規模の太陽光発電所を高圧で接続するのをOKしなそうな気もしますので、この基準緩和は余り意味をなさなそうな気もします。

ここについて詳しい方はコメントください!

もしこの規模の太陽光発電所が作られてくるようであれば、過去記事で考察していた、「電験2種を取っていればツブシが効く」というのも、状況が変わってくることになります。

電気管理技術者と電験2種の関係性に着目して少し考察してみました。 

その他:月次点検の遠隔対応について

キュービクルにもスマート化の流れが来ています。

一定の基準のスマート化機器を備えるキュービクルに関しては、3回に2回の月次点検は遠隔対応できるようになります!

電気管理技術者の点数を緩和するわけではないものの、点数当たりの労力が下がるのはありがたいことではないでしょうか?

キュービクルのスマート化は荒唐無稽という声も聞きます。実際のところどうなんでしょう?

まとめ

電気保安業界のルールが大きく変わるような動きが出てきました。

POINT

  1. 電気保安業務に必要な実務経験期間を3年に短縮
  2. 電験1・2種の一次試験の科目合格期間の延長
  3. 太陽光発電所の外部委託可能な容量緩和

どれも興味深い物でしたが、個人的には1が電気保安業界を大きく盛り上げてくれる要因になって欲しいなと思っています。

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それでは次回!

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コメント

  1. Tom より:

    学習意欲を刺激するためにあちこち見て回っていて、NIKKEIBPで「外部委託範囲を、第2種資格者が担う(2MW以上に)範囲に拡大」という意味の下記の記事を見つけました。「!」と思いきや、どうやら「第3種資格者に外部委託されている2MW未満から、範囲を拡大」という意味・内容の、NIKKEIBPによる解釈間違いのようです。残念。
    https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/01441/?ST=msb&P=2

    • ケンタ より:

      >Tomさん
      コメントありがとうございます。
      日経BPの引用している審議会資料とは違いますが,「外部委託範囲を、第2種資格者が担う(2MW以上に)範囲に拡大」する旨の審議は存在します。
      自家物限定ではあるものの,外部委託範囲が大型の火力と再エネに拡大する方向で審議しています。
      の資料1p6です。

      この辺りはそのうち記事にしようかなぁと思っています!

      • Tom より:

        5MW未満だと、「第3種」(の上限)で行けるようですが。第3種の範囲は「出力5千キロワット以上の発電所を除く」だったかと。「第2種」でももちろん担えるけど、「第2種(以上)のみが担う範囲」ではないですよね。で、「第2種」の利点にならないので、残念ですね、と。
        ところで、リンク先資料1のpage6は「自家用」限定のようです。

        • ケンタ より:

          >Tomさん
          ご指摘ありがとうございます。過去コメントは一部修正しました。

          混同して話していました。失礼しました。
          ただ実態としては,メガソーラーを例に挙げると2MW以上は電力会社が特別高圧(≒6.6万V)で接続するように求めてくるので,自ずと電圧の方の制限で2種が選任されることになります。
          https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/ene/130322/item3-2_2.pdf

          2MW以上かつ高圧受電(もしくは2.2万V受電)の連系を電力会社が認めれば,外部委託の緩和例になるのかと思いますが,実際にそういう案件があるのかは謎です。
          高圧にすると発電事業者はコストが安くなりますが,元々は系統大で見てコストが最安になるように連系電圧を決めているはずですので…

          • Tom より:

            太陽光発電の「実態」までは知りませんでした。「外部委託範囲を、5MW未満の範囲に拡大」するが、実質、特別高圧になるので、当面は「第2種資格者が担う」ことになるのですね。上リンク先の要望のように「特別高圧も第3種可」に緩和されるまでは。

          • Tom より:

            あっ、「自家用」限定なら、第3種へ外部委託可能だ。「第3回 産業保安基本制度小委員会」リンク先資料1のpage6にある「自家用」限定は、これか。

  2. Tom より:

    電氣新聞サイトよると、電験3種を2022年度から年2回実施に決定で、23年度からCBT方式も開始のようです。
    CBTは、パソコンによる受験です。多分、予約した日時(平日も可)に、予約した実施業者の施設での受験となります。(ひょっとしたら、科目ごとに別の日に受験できるかも。またストック問題数を増やすため、CBT開始より前の年度から、3種は問題非公開になりそう。)
    https://www.denkishimbun.com/sp/119210