電験3種

【電験編】今後は試験合格者数が増えていくのか?

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

 

電気主任技術者試験について、今後の合格者数が明示的に示されたわけではないですが、将来の資格保有者の需給状況を国が平成29年3月の審議会で報告しています。

こちらでは、デロイトトーマツコンサルティングという大手コンサルに委託した、電気主任技術者と電気工事士の2045年までの資格保有者数と必要資格数見通しについての調査結果をもとに報告しています。

今回は電験についての部分を、2つの資料をかい摘んで取り上げていきます。ちなみに、タイトルの書き方を見ると想像はつくとは思いますが、もちろん電工編も別記事で取り上げます笑

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資格の需要と供給

電験1種

JR系の設備には電験1種が必要な規模の自家用電気工作物があると聞いたことがありますが、ここでは事業用電気工作物が殆どを占めるということして、旧一般電気事業者と電源開発にヒアリングをしています。

結果は皆さんの想像の通りかと思います。

  1. 選任者数の約5倍の電験1種保有者を抱えていている
  2. 一部には1種以外の主任技術者を選任している可能性もある

ので、実質的には5倍以上の充足をしていると考えられ、報告書内では取り立てて問題視していません。私にとって新たな情報だったのは、これらの事業者が統括電気主任技術者制度を利用していることです。

ケンタ
ケンタ
送配電部門では各社のエリアごとに1名、発電部門ではユニットを纏めて●●発電所ごとに1名ということだとは思いますが。

あとは、ソースのない情報として、これらの会社は外部講師を呼んで潤沢な資格取得講習をしているそうです。独学のみで取得した身からしたら羨ましすぎるの一言です笑

「主任技術者を確保するための育成を継続して行っている。」との記載はあります。

こういった調査結果から、今後の1種の試験合格者数は少なくとも増加することは無いと思います。

ケンタ
ケンタ
本当は現状維持と言いたかったのですが、それを言えるまでの根拠を見つけることができませんでした。

電験2種

電験2種の資格保有者は2045年でも需要の約3倍存在するため、マクロ的には人材不足は生じない見通しです。ただし、これには前提があります。

先ず需要についての前提は、国の長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス含む)を基に推計しています。

資格保有者についての前提は、現在と同水準の新規取得者数(試験・認定の割合仮定は不明)を維持すると、労働人口が減少していく中でも数を維持できるとしています。

一方で、資格保有者のうちどれだけが会社での選任候補かという問題があります。合格者ではなく受験者のならば受験動機の統計が公開されていて、合格者もこの割合を維持すると仮定すれば、会社の選任対象者になりそうな層は全体の3/4ほどです。これを加味しても、需要は十分上回ります。

3倍×3/4=2.25倍という計算です。

資格保有者が十分だとしても、業界団体へのヒアリングによると、足元では再エネ設備が増加してきたことにより、地域によっては資格者数が不足する可能性があるとのことです。こういった可能性も考慮すると、新規取得者を減らすこともできないと思いますので、結果として推計通り現状維持となるのではないでしょうか。ただし、新規取得者の種別(認定 or 試験)割合がどうなっていくかは分かりません。試験センターが試験を開始してからは、試験合格者の方が多いのでこの状況が続くかもしれませんが。

電験3種

電験3種についても、資格保有者は2045年でも需要の3倍弱存在するため、マクロ的には人材不足は生じない見通しです。3種は2種以上に、選任(もしくは委託)されたい動機が強いと考えられますので、活用されない死に資格となる割合は少ないはずです。

2種では基本的に1資格1設備である一方で、3種では委託制度も加味した需要数を推計しています。つまり、3種が必要な設備数に「一件当たりの必要な主任技術者数」をかけて必要資格数を推計し、資格保有数と必要資格数の比較をしています。

比較をした結果が上述の3倍弱という数値です。

ちなみに、このページはそれ以外にも驚くような情報が2つありました。1つは委託可能な物件の内、実際に委託している物件のシェアは90%ということです。もう1つは、受託者別の平均担当件数が露骨に書かれているということです。

ケンタ
ケンタ
後者の数値を使うと、個人で電気管理技術者になった時の平均的な収入が推測できそうです。

次回の記事としますが、世の中の設備の大部分を委託している中で、個人の電気管理技術者(設備オーナーから委託されて電気設備の保安をする方のことです)や法人の保安業務担当者が将来不足することが懸念されています。ですので、資格保有者数は現状維持した上で、これらの方の数を増やす策を取るのではないかと思います。

なお、これまでの新規取得者の種別(認定 or 試験)割合は、電験2種とほぼ同じ状況です。

まとめ

資格保有者数という観点では需要を十分に上回っているという報告を紹介しました。この報告から推測される今後の試験合格者数は、以下のようになるかと思います。

  • 電験1種:増加はしない
  • 電験2種:数年間での平均値で見るとおおよそ現状維持
  • 電験3種:数年間での平均値で見るとおおよそ現状維持

他方で、この報告書を審議会に上げていることから、以降の官僚たちはこれに従わないといけないというある種の束縛が生まれたとも言えます。ということで、ますます現状維持の蓋然性が高くなってきましたね。

 

それでは次回!

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