皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
前回分からだいぶ時間が空いてしまいましたが、電気工事士の今後の試験合格者について考察というか調査資料の紹介をしてきます。なお、前回分はコチラです。
前回のおさらい
電験に関しては、資格の需要と供給を考えると現在は供給過多(資格者数が多い)ものの、
- 再エネ設備の増加
- 電気管理技術者の不足
などの問題があり、合格者数は維持しつつ過多な供給を不足しているところにシフトさせるのではないか、という推論になりました。
それでは電工業界ではどうなのでしょうか?
試験合格 or 認定合格?
その前に電工電気工事士の免状取得ルートについて触れておきます。
第2種電気工事士
電気主任技術者試験と同じでどなたでも受験できて、合格すれば実務経験無しで免状が発行されます。
第1種電気工事士
試験ルートと電験ルートがあります。
試験ルートの場合は大きく分けて3ステップです。
- どなたでも受験できる試験に合格する
- 合格証をもとに認定電気工事従事者となり、自家用電気工作物のごく一部の電気工事をして実務経験を5年貯める。もしくは、第2種電気工事士の免状をもとに、一般用電気工作物の電気工事をして実務経験を5年貯める。(どちらの場合も、電気科で特定の課程を履修していれば3年に短縮可能)
- 実務経歴証明書を提出して免状取得
また、電験を取得している人の場合は大きく分けて2ステップです。
- 電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に5年間従事する。
- 実務経歴証明書を提出して免状取得
電気管理技術者となっている方に第1種電気工事士も持っている方が多いのは、この辺りが理由になっていそうですね。
このように第1種電気工事士は実務経験の壁が高く、そこが免状取得のネックとなっています。つまりここから推測されることとしては、電験編で気にしていたような試験自体の難易度や合格者数に何らかの措置をする可能性が低いということです。
電気工事士「も」将来人手不足となる
どの業界も人手不足なんですね。。。
以前の記事で、「電気保安人材が人手不足となる」という記事を書きました。
電気工事士に1人あたりの持ち点という制度は無いものの、似たような構造上の問題があって人材不足となるそうです。
とりわけ衝撃的だったのは、建築工事数が減少するスピード以上に免状取得者が減少していくという見通しです。ということで、免状保有者の減少が早い理由を追ってみます。
問題1.業界に人が来ない
電験もそうでしたが免状を取得するところまで行っても、そもそも電工業界に転職する人が少ないそうです。
問題2.免状保有者のボリュームゾーンが60代
この構成ならば50歳でも若手となりそうです。。。
問題3.離職率の高さ
ヒアリングによると3年後離職率が2~4割程度と推計され、全産業の離職率よりも高いそうです。IT業界やサービス業界並ですね。
その結果人が減っていく
もうこれは試験合格以前の話のような気がしてきました。
コンサルの提言
いくつか提案している中で、気になった提案を紹介します。
短期策1:実務経験の緩和
これは即効性・確実性のある策だと思いました。ただし資料でも触れているように、資格者の技術の質を落とさないための方策とのセットが不可欠です。形だけの規制緩和をしても意味がないですからね。
短期策2:業界のPR
試験センターが最近力を入れている業界紹介ページのことが真っ先に思い浮かびました。
試験センターがどういった裏の経緯でこのような活動をしているかは知ることはできませんが、業界を代表する組織として同じ危機感を抱いているのでしょうね。
長期策:海外人材の受け入れ
東南アジアからの人材受け入れを提言しているようです。
介護業界などと違って電気工事に関する資格は海外にもあるので、上手く整合を取って相互認証を進めれば人材が流入しやすくなるのは確かです。日本全体としては技能実習後に5年間の延長滞在を認めて、何とか減りゆく労働人口を海外人材で賄おうとしているようですので、この枠組に電工業界も入っていけば、良い方向に状況が傾くかもしれません。
まとめ
コンサルの提言には試験以外のことが多かったですね。唯一関係していたのは実務経験の緩和です。
試験合格者数の今後については触れていませんでしたが、人材不足がほぼ確定的であることから免状保有者を増やす方向は恐らく合っていて、そのような状況下では試験難易度を上げて合格者数を減らすことは無いだろうと思います。
あまり締まりが良くないですが、今回はこのくらいで。
それでは次回!