皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
「わからない問題は適当にマークして次へ進め」という助言は、試験が近づくとあちこちで見かけます。では、全部を勘で埋めたらどこまで行けるのか。気になったので計算してみました。
結論から書きます。五肢択一を20か所すべて勘で埋めて60点に届く確率は、およそ1万回に1回です。平均点は20点で止まります。
この記事では電験3種を例に計算しますが、「5択・6割で合格」という条件は他の資格試験でも珍しくありません。数字の出し方はそのまま流用できますので、4択の場合も後の節で触れます。
📌 この記事でわかること
- ✓ マークシートを全部勘で埋めたときに合格する確率(約0.01%)
- ✓ 勘で埋めたときの平均点が20点で止まる理由
- ✓ 勘が合否をひっくり返せるのは、自力で何点まで来ているときか
- ✓ 5択を3択に絞る「単位」の使い方と、実際の出題での手順
- ✓ 単位で絞れる問題が、実際にはどのくらいしか出ないか
結論:全問を勘で埋めて合格する確率は約0.01%
前提から確認します。電験3種の解答方式について、試験センターは「各科目の解答方式は、マークシートに記入(筆記方式)又はパソコンで解答(CBT方式)する五肢択一方式です」と公表しています(第三種電気主任技術者の試験概要)。選択肢は必ず(1)〜(5)の5つです。
配点は問題冊子の先頭に書かれています。A問題は1問題当たり5点、B問題は(a)5点・(b)5点で計10点です。
出典:令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験「理論」問題冊子(一般財団法人 電気技術者試験センター)。赤枠は筆者による加筆です。
理論であればA問題14題とB問題3題で100点満点です。B問題は(a)(b)に分かれていますので、マークする場所は全部で20か所、1か所あたり5点という勘定になります。電力と機械も同じ構成で、法規だけはA問題10題(1題6点)とB問題3題(13点・13点・14点)という配分です。
合格基準は原則60点です。難しかった年は引き下げられることがあり、55点前後になった年もあります。
平均点は20点、60点以上は約1万回に1回
20か所それぞれで \( \dfrac{1}{5} \) を引き当てる話ですので、正解数の期待値は4問、得点にすると20点です。以下は1問ごとの正解率を \( \dfrac{1}{5} \)、20か所を独立した抽選として二項分布で計算した結果です。
| 正解数 | 得点 | そうなる確率 |
|---|---|---|
| 0問 | 0点 | 1.2% |
| 2問 | 10点 | 13.7% |
| 4問 | 20点 | 21.8%(最も起こりやすい) |
| 6問 | 30点 | 10.9% |
| 8問 | 40点 | 2.2% |
| 9問以上 | 45点以上 | 1.0% |
| 11問以上 | 55点以上 | 0.056%(約1,800回に1回) |
| 12問以上 | 60点以上 | 0.010%(約9,800回に1回) |
山の頂上は4問正解の20点で、合格ラインの3分の1です。40点に届くだけでも31回に1回しか起こりません。合格点が55点まで下がった年を狙っても、1,800回に1回のままです。
「5択・20問・6割で合格」という条件は、電験に限った話ではありません。4択の試験であれば1問の正解率が \( \dfrac{1}{4} \) に上がりますが、それでも20問中12問以上は約1,069回に1回で、平均点は25点にとどまります。選択肢が1つ減った程度では、勘だけで6割に届く見込みは立ちません。
4科目まとめて勘で通る確率
1科目で約1万回に1回ですから、4科目を同じ年に勘だけで揃える確率は約9,300兆回に1回になります。
もっとも電験3種には科目別合格制度があり、4科目を1度に揃える必要はありません。それでも1科目あたり1万回に1回という数字は変わりません。
勘が合否を動かすのは「あと数問」の場面だけ
では勘に意味がないかというと、そうではありません。効き方が変わるのは、自力で取れる点数が合格ラインに近づいたときです。
実力で確保できる点数ごとに、残りを勘で埋めて60点に届く確率を計算しました。右端は、後半で説明する「単位で絞る」方法が残り全問で使えたと仮定した場合の上限値です。
| 自力で確保 | 残り | 5択のまま埋める | (参考)全問3択に絞れたら |
|---|---|---|---|
| 40点(8問) | 12問 | 20.5% | 60.7% |
| 45点(9問) | 11問 | 38.3% | 76.6% |
| 50点(10問) | 10問 | 62.4% | 89.6% |
| 55点(11問) | 9問 | 86.6% | 97.4% |
絞り込みの効果がいちばん大きいのは、自力で40点から50点まで来ている局面です。40点の行を見ると、5択のままなら5回に1回だったものが、3択に絞れると6割まで上がります。逆に自力が30点を下回る段階では、何をしても届きません。
ただし右端の列は上限値です。単位で絞れる問題は後述のとおり多くありませんので、実際の位置は左隣の列に近いところになります。
この計算では、自力で解いた分は確実に正解するものとしました。B問題の(b)は(a)の答えを使う形が多く、厳密には独立した抽選ではない点もお断りしておきます。それでも桁の感覚はつかめるはずです。
5択を3択に絞る:単位で選択肢を切る
文字式を答えさせる問題では、選択肢の単位を見るだけで消せるものがあります。答えの単位に合わない式は、計算するまでもなく正解ではありません。
単位で選択肢を切る手順
- 問われている量の単位を確認する(静電容量なら \( \mathrm{F} \))
- 選択肢に出てくる記号を \( \Omega \) と \( \mathrm{s} \) に置き換える
- 単位が合わない選択肢を消し、残りから選ぶ
置き換えに使う関係は2つだけです。インダクタンスは \( \omega L \) がリアクタンス \( \Omega \) になることから \( \mathrm{H}=\Omega\cdot\mathrm{s} \)、静電容量は \( \dfrac{1}{\omega C} \) が \( \Omega \) になることから \( \mathrm{F}=\dfrac{\mathrm{s}}{\Omega} \) です。
平成29年度 理論 問16(b)でやってみる
三相平衡負荷にコンデンサを接続して力率を1にしたときの静電容量 \( C \) を選ぶ問題です(平成29年度 第三種「理論」問題冊子)。選択肢は次の5つでした。
求めるのは静電容量ですので、右辺は \( \mathrm{F} \) にならなければいけません。(1)を単位に置き換えると次のようになります。
\begin{align} \frac{L}{R^2+\omega^2L^2}\ \rightarrow\ \frac{\Omega\cdot\mathrm{s}}{\Omega^2}=\frac{\mathrm{s}}{\Omega}=\mathrm{F} \end{align}
単位が合いましたので、(1)は正解の候補として残ります。同じ要領で(2)を計算します。
\begin{align} \frac{\omega L}{R^2+\omega^2L^2}\ \rightarrow\ \frac{\mathrm{s}^{-1}\cdot\Omega\cdot\mathrm{s}}{\Omega^2}=\frac{1}{\Omega}=\mathrm{S} \end{align}
こちらは静電容量ではなくアドミタンスの単位です。(2)は正解ではなくなります。
残りも同じです。(3)と(4)は分母に \( \sqrt{3} \) や \( 3 \) が付いているだけで、これらは単位を持たない定数ですから(1)と同じ \( \mathrm{F} \) になります。(5)は(2)と同じ形ですので消えます。
結果として(1)(3)(4)が残り、5択が3択になりました。1問5点として期待値を出すと、\( 5\times\dfrac{1}{5}=1 \) 点だったものが \( 5\times\dfrac{1}{3}\fallingdotseq1.7 \) 点まで上がります。
[おまけ]もう1ひねりしてみる
私ならここから(4)を選びます。(1)だけを見ていたときは何も感じませんでしたが、(1)(3)(4)を横に並べると \( \sqrt{3} \) や \( 3 \) と、その隣の \( R^2 \) に関係がありそうに見えてきます。
\( R \) が2乗されているのですから、その隣には \( \sqrt{3} \) を2乗した \( 3 \) が来るのではないか。そう考えて(4)を選びます。実際の正解も(4)でした(電験王3の解説)。
ただし、ここから先は勘です。単位で3択まで絞るところまでが根拠のある手順で、その先は当たれば結果オーライという話になります。
単位で絞れる問題は、そう多くない
正直なところを書いておきます。私が2018年に電験3種4科目の過去2年分を確認したときは、この方法で選択肢を絞れる問題は上の1問を含めて2問しかありませんでした。
たとえば平成28年度 法規の問13(a)は、地絡電流 \( I_{\mathrm{g}} \) を表す式を選ばせる問題です(平成28年度 第三種「法規」問題冊子)。5つの選択肢はどれも \( V \)・\( f \)・静電容量の1次式で、すべて同じ単位になります。単位では1つも消せません。
そもそも電験3種は、答えを数値で選ばせる問題が中心です。文字式を答えさせる問題自体が少なく、電験2種以上になるとようやく増えてくる印象があります。
文字式の選択肢と自分の計算結果を突き合わせる話は、計算結果と選択肢の文字式を一致させる簡単な方法でも扱っています。
勘に頼る回数を減らすほうが早い
ここまでの数字が示しているのは、単位による絞り込みが「最後の1問か2問の保険」だということです。合否を左右するのは、勘で埋める問題の数をどれだけ減らせるかのほうになります。
手前でできることは2つあります。ひとつは時間配分で、解ける問題を取りこぼさない段取りを決めておくことです(【電験3種版】試験時間内で素早く効率的に解く方法)。
もうひとつは過去問です。文字式の問題に慣れておくと、単位を見る前に形で見当が付くようになります。電験3種の過去問徹底解説は年度順と分野順のどちらも用意していますので、苦手な分野だけを集めて回すこともできます。
なお、選択肢の番号そのものに偏りがあるかどうかは、電験三種のマークシート記入ルールと正解番号1,200問の偏りで公式解答15回分を数えて確かめました。マークシートの記入ルールや、二つ以上マークすると採点されないといった当日の注意もそちらにまとめてあります。
まとめ
- ✓ 電験3種は五肢択一。理論・電力・機械は5点×20か所で100点満点
- ✓ 全問を勘で埋めた場合の平均は20点。60点以上は約0.010%=約9,800回に1回
- ✓ 合格点が55点まで下がっても、勘だけでは約1,800回に1回
- ✓ 勘が効くのは自力で40〜50点まで来ている局面。仮に全問3択に絞れれば20.5%が60.7%まで上がる
- ✓ 文字式の問題は単位が合わない選択肢を消せる(\( \mathrm{H}=\Omega\cdot\mathrm{s} \)、\( \mathrm{F}=\mathrm{s}/\Omega \))
- ✓ ただし単位で絞れる問題は少ない。過去2年分で2問だけだった
適当にマークすること自体は悪い判断ではありません。わからない問題に時間を使うより、次の問題へ進んだほうが点になります。
ただ、それは「あと数問」まで自力で来ている人の話です。最後の1マスを埋める前に単位を確かめる余裕があれば、その1問が5点になるかもしれません。
引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。それでは次回!





1種を受けてきました。
なんとか2科目うまく行けば・・という感じです。
勉強不足を痛感すると同時に、勉強だけでは何ともならない運も必要という感じがしております。特に法規の最後の方の時事問題ですね。
もし1科目しか合格していなかったら、モチベーションを保てるか不安になります。
記載の方法は、余った時間で確認するのには良い方法だと思いました。
>to yama beatさん
コメントありがとうございます!
試験お疲れ様でした。
今年1科目落としたら科目合格が復活するのですか?
どちらにしろスパイラーにならうちに早めに決めたいですね。