皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
先日、電験1種・2種二次試験の感想を書いてみて、計算問題の難しさに打ちひしがれてしまいました。特に電験1種の計算問題が難しかったという話でしたが、電験2種でも完答できなそうな計算問題がありました。電力・管理の問3です。
解答予想をした中で私は(1)~(3)まであるうち、(2)までしか解けなかっただろうと降参をしていましたが、読者の方から是非解答を作って欲しいというお問合わせを頂きましたので、解答作りに挑戦してみたいと思います。
ネタばらしというか、解答までのプロセス
先程書いたように私は完答できなかったであろう、というか、きちんと問題文を読んだ上でも完答できなかったと確信(?!)しています笑 そこで2chの書込みを頼りに、解答(的な何か)を作ってみたいと思います。
敢えて書かせていただきますが、数値はおろか公式解答と解答プロセスが異なる可能性があります。これについては注意願います。
インピーダンスマップ
久し振りですので、色々思い出しながら書いていきます。
(1)77kV母線から合成発電機を見てみる
先ず、77kV母線から左側の発電機を見た時の%インピーダンス\(\%Z_1\)を、\(100\mathrm{MVA}\)基準で計算します。
\begin{align}
\%Z_1&=\left[\frac{100}{200}\times16\%\right]//14\%//\left[\frac{100}{200}\times16\%\right]+\frac{100}{10}\times0.2\%\\
&=3.1111+2\\
&=5.1111\%\\
\end{align}
よって、77kV母線から合成発電機を見た時の%インピーダンス\(\%Z_2\)は、
\begin{align}
\%Z_2&=\%Z_1//\left[\frac{100}{10}\times 2\%\right]\\
&=5.1111\%//20\%\\
&=4.0707\%\\
\end{align}
となります。
短絡比と%インピーダンスの関係から、
\begin{align}
\frac{P_\mathrm{s}}{P_\mathrm{n}}&=\frac{100}{\%Z_2}\\
P_\mathrm{s}&=100\mathrm{MVA}\times\frac{100}{4.0707}\\
&=2,456.5\mathrm{MVA}\\
&\fallingdotseq 2,460\mathrm{MVA}\\
\end{align}
となります。
(2)合成発電機→\(\%Z_2\)→コンデンサ
位相差を考えない電圧変動式
\begin{align}V_\mathrm{s}=V_\mathrm{r}+\frac{PR+QX}{V_\mathrm{r}}\\ \end{align}
で考えてみます。
ただし、この式の\(Q\)は遅相電圧が正です。
送電電圧\(V_\mathrm{s}\)を、コンデンサ投入前の電流が流れていない状態での電圧、つまり基準電圧\(V_{77}\)
受電電圧\(V_\mathrm{r}\)を、コンデンサ投入後の変動した電圧\(V’_{77}\)
と置き換えて、単位法で解いていくと
\begin{align}
V_{77}&=V’_{77}+\frac{PR+QX}{V’_{77}}\\
1&=V’_{77}+\frac{\frac{-30}{100}\times\frac{4.0707}{100}}{V’_{77}}\\
V’_{77}&=1.012064\%\\
\end{align}
となります。
したがって、
\begin{align}
\Delta V_{77}&=\frac{V’_{77}-V_{77}}{V_{77}}\times100\\
&=\frac{1.012064-1}{1}\times100\\
&=1.2064\%\\
&\fallingdotseq 1.21%\\
\end{align}
(3)左側の発電機→電圧変動→77kV母線に到達
最後では、合成発電機という見方を止めます。
左側の発電機から電圧変動をしていき、77kV母線に到達した結果\(1.2064\%\)の電圧変動を起こした。と考えると、
\begin{align}
\Delta V_{154}&=1.2064\%\times\frac{2}{2+3.1111}\\
&=0.47207\%\\
&\fallingdotseq 0.472%\\
\end{align}
となります。
(3)別解
本当に合っているのか?と、思った方もいるのではないでしょうか。私もそうでした笑
ということで、もう少し丁寧に計算してみたいと思います。
コンデンサを接続した時の77kV母線の電圧変動量は\(V’_{77}-V_{77}\)です。
この時に、154kV母線では\(\frac{2}{2+3.1111}(V’_{77}-V_{77})\)の電圧変動量となります。つまり、これを基準電圧1で割ると
\begin{align}
\Delta V_{154}&=\frac{\frac{2}{2+3.1111}(V’_{77}-V_{77})}{1}\times100\\
&=\frac{2}{2+3.1111}\times1.2064\%\\
&=0.47207\%\\
&\fallingdotseq 0.472%\\
\end{align}
となります。
まとめ
この問題は特にそうでしたが、どう見なすかがポイントですね。あとは単位法の使い方でしょうか。
恐らく数値は合っていると思いますので、そこに到達するまでの計算も合っていると思います。
図を丁寧に描こうとしたのですが横着してしまいました笑
それでは次回!
ためになる解説をありがとうございます。私の理解が浅いので一つ質問させてください。(2)のXは(1)のZ2を単位法表記したものとなっていますが、(2)においてこのXにコンデンサーのインピーダンスを含めない理由がよく分かりません。なぜなのでしょうか?
>ルックさん
コメントありがとうございます!
コンデンサーは今回は負荷となります。
Xには線路のリアクタンスが入ってくるので、ここにコンデンサーのインピーダンスは入れません。
あまり見ませんが、直列コンデンサを線路に挿入した場合は、このインピーダンスをXに入れることになります。