電験3種

電験1種の保有者数は国の推計で約9千人|2種・3種の人数と合格者数の見通し

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

電験(電気主任技術者)の保有者は日本に何人いるのか。国の推計では、就業可能な年齢の有資格者が第1種で約9千人、第2種で約3万4千人、第3種で約23万人です。この記事では、その内訳と根拠、そして毎年どれくらいのペースで増えているのかを一次資料から整理します【PR】。

あわせて、元になった国の需給見通しが2018年から2023年にかけて「足りている」から「足りなくなる」へ変わった点と、そこから読める今後の試験合格者数についても取り上げます。

📌 この記事でわかること

  • 電験1種・2種・3種の保有者数(国の推計値)と、その数え方の前提
  • 毎年の試験合格者数と免状取得者数の実績(令和7年度まで)
  • 国の需給見通しが2023年に反転したこと(2030年度に不足へ)
  • 人手不足でも試験合格者数が急には増えないと考えられる理由

電験の保有者数は何人?1種・2種・3種の推計値

まず数字から出します。経済産業省が産業構造審議会の電力安全小委員会に出した資料では、電気主任技術者の有資格者数が種別ごとに次のように示されています。

種別 有資格者数(推計) 監督できる範囲
第1種 約9千人 すべての事業用電気工作物
第2種 約3万4千人 電圧17万V未満
第3種 約23万人 電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所等を除く)

ここで一点だけ注意があります。この数字は「就業可能年齢の有資格者数」で、免状を持っている人すべての累計ではありません。実務から引退した高齢の保有者は外して数えた推計値です。

そして、電験の保有者数には、毎年更新されて公表される公式の統計が存在しません。試験の合格者数と免状の交付者数は公表されますが、「いま何人が免状を持っているか」は国が推計を出したタイミングでしか分かりません。上の数字が平成30年の資料に基づくのは、そのためです。

ケンタ
ケンタ
「電験1種は日本に何人?」と聞かれたら約9千人と答えることになりますが、正確には「働ける年齢の人で約9千人」です。累計の免状交付数はもっと多いはずです。

同じ資料には電気工事士の数も載っていて、第1種電気工事士が約67万人、第2種電気工事士が約210万人とされています。ただしこちらは免状交付者数と認定数の累積で、電験の数字(就業可能年齢に絞った推計)とは数え方が違います。桁の感覚をつかむ程度にとどめ、割り算して比べないほうが安全です。電気工事士側の見通しは【電工編】今後は試験合格者が増えていくのか?で別途取り上げました。

旧一般電気事業者等における第1種電気主任技術者の選任者数と保有者数の関係
引用元:デロイトトーマツコンサルティング「電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業」報告書(上記 資料5 の基礎調査)

第1種については、旧一般電気事業者と電源開発へのヒアリング結果が載っています。選任している人数の約5倍の第1種保有者を各社が抱えているという状況で、報告書でも問題視されていません。統括電気主任技術者制度を使って1人で複数の事業場を見る運用も、このヒアリングで確認されています。

毎年どれくらい増える?試験合格者数と免状取得者数の実績

保有者数のストックが分かったので、次は毎年のフローを見ます。電気技術者試験センターが公表している直近3年の合格者数は次のとおりです。

年度 第1種(二次合格者) 第2種(二次合格者) 第3種(上期+下期)
令和5年度 129人 474人 9,894人
令和6年度 112人 553人 8,181人
令和7年度 245人 611人 6,365人
出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「試験結果と推移」(第一種第二種第三種

令和7年度の第1種は二次試験の受験者772人に対して合格者245人で、試験センターが公表している平成9年度以降の一覧では最も多い数字です(それまでの最多は令和4年度の143人)。ただしこの年に合格者が跳ねた理由は公表されていません。もともと単年の振れが大きい試験なので、この1年だけで傾向が変わったとは言えません。一方で第3種は、CBT方式が始まった令和5年度の9,894人を山にして、令和7年度は6,365人まで落ちています。

免状の取得者数(試験合格だけでなく認定取得も含む)で10年単位を比べると、もう少し落ち着いた姿が見えます。

種別 2002〜2011年 2012〜2021年
第1種 1,731人 1,999人
第2種 9,331人 9,059人
第3種 49,269人 43,793人
合計 60,331人 54,851人

3つの数字から読み取れること

  1. 第3種は10年で約5千人(1割超)減っている。人数の主力である3種が細っていることが、後述する需給見通しの反転につながります
  2. 第1種はむしろ微増。1,731人から1,999人へと増えていて、母数が小さいぶん認定取得の影響も受けます
  3. 第2種はほぼ横ばい。9,331人から9,059人と、10年でも数百人しか動いていません

10年で約5万5千人という数字と、上で見た約23万人というストックを並べると、第3種は毎年4千〜5千人が新たに免状を取り、そこから引退した人が抜けていく規模感になります。合格者数を数百人動かしたところで、ストック全体はすぐには動きません。

「足りている」から「足りなくなる」へ — 国の見通しは2023年に反転した

ここからが、この記事を最初に書いた2018年から一番大きく変わった部分です。

第2種・第3種電気主任技術者の有資格者数と需要の推計グラフ

平成30年の資料では、第2種の有資格者は需要の約4倍存在し、第3種も十分な数がいるため全体としての人材不足は生じない見込みと整理されていました。唯一の例外が、外部委託を担う保安業界の第3種で、2045年に想定需要約1.8万人に対して4千人程度足りなくなるという指摘です。

ところが令和5年3月の資料では、結論が次のように変わっています。

  • 新たな対策を講じない場合、2030年度時点で第2種が約1,000人不足する可能性(主に再エネ設備の増加という需要側の要因)
  • 同じく2030年度時点で第3種(外部委託)が約800人不足する可能性
  • その後は人口減少を背景に、供給側の要因で需給ギャップが大幅に拡大する可能性

「マクロでは足りている」だった見通しが、5年で「2030年度には足りない」へ変わりました。第2種については、2018年の時点でも再エネ設備の増加により地域によっては担い手の確保に苦労する可能性が指摘されていて、その懸念が全国規模の数字として表に出てきた形です。この論点は【電験編】今後は試験合格者数が増えていくのか?~その2~で、再エネ設備量と2種の人数を突き合わせて考えたことがあります。

ケンタ
ケンタ
需要側(再エネ設備が増える)と供給側(人口が減る)の両方から挟まれた格好です。設備が増えるほうが先に効いてくる、という順番も資料に書かれています。

足りるかどうかは「保有者数」だけでは決まらない

保有者が23万人いても、その全員が保安の現場に立つわけではありません。実際の担い手がどこにいるかを見ると、数字の意味が変わります。

令和5年の資料によると、主任技術者の選任形態は9割が外部委託です。内訳は選任4%、統括2%、兼任2%、許可選任1%で、残りの91%を外部委託が占めます。その外部委託の受託者は、電気保安協会が47%、それ以外の保安法人が12%、電気管理技術者が計41%という構成です。

外部委託が可能な物件のうち実際に委託されている割合と受託者別の平均担当件数
引用元:デロイトトーマツコンサルティング「電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業」報告書(第16回電力安全小委員会 資料5 の基礎調査)

そして年齢構成が厳しい。外部委託に従事している人のうち、電気保安協会では50代以上が56%、全国電気管理技術者協会では51歳以上が89%(うち71歳以上が44%)を占めます。ここが数年単位で入れ替わるため、保有者数のストックが横ばいでも現場の頭数は減っていきます。

選任・独立・転職でどう道が分かれるかは電気主任技術者と電気管理技術者と電気保安法人の違いに整理してあります。独立側の収入イメージは電気管理技術者のお金関係シミュレーションで具体的な金額に落としました。この不足構造が資格の価値を支えている面については、AI時代でも電験の価値は変わらない理由でも触れています。

それでも試験合格者数が急には増えないと考える理由

人が足りないなら合格者を増やせばいい、という話になりそうなところですが、国が実際に打ってきた手はそちらではありません。

  • 点検頻度の延伸:設備更新計画と遠隔監視を条件に、外部委託の現地点検を3か月に1回まで延ばせるよう令和7年度から見直し
  • 統括制度の柔軟化:令和4年6月から、担当技術者が2時間以内に到達できる体制なら統括を認める運用に変更。令和8年1月には7以上の事業場を統括する場合の考え方も公表
  • 実務経験の短縮:外部委託に必要な実務経験を、座学の講習で一律3年、令和6年からは実技訓練の受講で一律2年まで短縮可能に
  • 受験機会の拡大:第3種試験を令和4年度に年2回化し、令和5年度からCBT方式を導入(全国約250会場・50日間から受験日を選択)

並べてみると、不足への対策は「合格者を増やす」よりも「1人が見られる範囲を広げる」方向で進んでいます。規制緩和の流れそのものは【規制緩和】電気保安業界の大変革に待ったなし?で追いかけてきたとおりで、方向性は当時から変わっていません。

受験機会の拡大は、確かに合格者を増やす方向の施策です。ただ第3種の実績を見ると、CBT導入直後の令和5年度に9,894人まで伸びたあと、令和7年度は6,365人まで戻りました。受験者数も52,735人から48,942人へ減っています。受けやすくすることで一時的に合格者が増えても、そこから先は受験する母集団の大きさに左右されます。

ここからは私の見立てになりますが、合格者数の総数が趨勢として大きく増える材料は乏しいと考えています。国が需給を埋めにいく主戦場が制度の運用側にある以上、合格者数は数百人単位の振れを繰り返しながら推移していく可能性が高そうです。2018年に書いた「増加はしない(1種)/おおよそ現状維持(2種・3種)」という見立ては、8年たった今でもおおむね外れていません。

ケンタ
ケンタ
受験する側から見れば、合格者が急増しない=資格の希少性が保たれるということでもあります。私が独立を選べたのも、この構造に助けられた部分が大きいです。

これから受ける人が押さえておきたいこと

ここまでの数字は、受験を考えている人にとっては追い風の材料です。需要側は再エネ設備の増加で伸び、供給側は高齢化で細っていく。合格者数が急には増えない見込みなら、いま取った資格の価値は当面下がりません。

あとは合格までの距離を詰めるだけで、電験の場合は過去問の反復がそのまま最短ルートになります。当ブログでは各種別の過去問を1冊にまとめた電子書籍を出していて、電験三種の過去問徹底解説電験一種 一次試験の過去問徹底解説から中身を確認できます。無料サンプルもあるので、解説の詳しさを見てから判断していただければと思います。

まとめ

  • 国の推計では、就業可能年齢の有資格者は第1種 約9千人/第2種 約3万4千人/第3種 約23万人
  • 毎年更新される公式の保有者統計はなく、公表されるのは試験合格者数と免状取得者数
  • 免状取得者数は10年比較で第3種が約5千人(1割超)減、第1種は微増、第2種はほぼ横ばい
  • 需給見通しは2023年に反転し、対策なしなら2030年度に第2種 約1,000人・第3種(外部委託)約800人が不足
  • 対策の中心は点検頻度の延伸や統括の柔軟化で、合格者数を大きく増やす方向ではない

数を追いかけていくと、電験は「持っている人が多いか少ないか」ではなく「現場に立てる人がどれだけ残るか」で価値が決まる資格だと分かります。その意味では、これから免状を取る人にとって環境は悪くありません。引き続き当ブログをよろしくお願いいたします!

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