皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
Δ-Y変換(スター・デルタ変換)は、三角形に結ばれた3つの抵抗を、星形の3つに置き換える変換です。公式を添字ごと丸暗記しようとすると、本番でどちらの向きだったか思い出せなくなります。
三相回路でおなじみの「Δ負荷をYに直すと3分の1」を覚えておくのは構いません。ただ、最近は3辺が等しい対称な回路にならない出題も多く、3分の1だけでは足りない場面が増えてきました。
たとえば三種 R7下期 理論 問16は、端子 b-c 間に抵抗をつなぎ直した橋渡しつきの回路がそのまま問われました。3辺がそろった対称な形ではないので、3分の1の記憶だけでは歯が立ちません。リンク先の解説は網目電流法で解いていますが、本記事では後半でΔ→Y変換を使って同じ答えにたどり着きます。
おおもとの式を1本覚えておくほうが得になってきた、というのが正直なところです。しかも、その1本さえ持っていれば3分の1のほうは自動的に出てきます。本記事では、式の形・その式が出てくる理由・実際に開く手順・使えない場面までを一続きで整理します【PR】。
📌 この記事でわかること
- ✓ Δ→Y変換を「両隣の積 ÷ 3つの和」の形で覚える方法と、平衡なら3分の1になる理由
- ✓ その式が「端子から見た抵抗を等しくする」条件から出てくること(3本の式の足し引きだけで作れる)
- ✓ 令和7年度下期 理論 問16(実際の出題)をΔ→Yで解く手順。公式の回路図つきで、どの三角形を選ぶかまで追える
結論:Δ→Yの1本を「両隣の積 ÷ 3つの和」で持つ
先に結論だけ示します。Δ-Y変換で覚えるのは、次の言い回しひとつです。
Δ→Y変換で押さえる2点
- Y側の1本=その端子の両隣の積 ÷ 3本の和。端子aのY抵抗なら、aにつながっている2本を掛けて、Δ3本の合計で割る
- 3本とも同じ値なら、Yは Δ の3分の1。三相の平衡負荷でおなじみの関係で、覚えていても構わない。ただし3辺が違う回路にはそのまま使えないので、本体はあくまで❶の式。❶に同じ値を入れれば3分の1は自動的に出てくる
Δ-Y変換の役目は、直並列に見えない回路を直並列に見える形へ開くことです。合成抵抗が出ればあとは普通の直並列計算なので、変換そのものは通過点にすぎません。
Δ→Y変換の式と、記号の対応
まず記号を決めます。三角形(Δ)の3つの頂点を \( \mathrm{a} \)・\( \mathrm{b} \)・\( \mathrm{c} \) とし、その3辺の抵抗を次のように呼びます。
- \( R_{\mathrm{ab}} \) : 端子 \( \mathrm{a} \) と \( \mathrm{b} \) を結ぶ辺の抵抗
- \( R_{\mathrm{bc}} \) : 端子 \( \mathrm{b} \) と \( \mathrm{c} \) を結ぶ辺の抵抗
- \( R_{\mathrm{ca}} \) : 端子 \( \mathrm{c} \) と \( \mathrm{a} \) を結ぶ辺の抵抗
これを、中性点 \( \mathrm{o} \) から3本が伸びるY形(星形)に置き換えます。端子 \( \mathrm{a} \) から中性点までの抵抗を \( R_{\mathrm{a}} \)、以下同様に \( R_{\mathrm{b}} \)・\( R_{\mathrm{c}} \) とすると、変換式は次のとおりです。
\( \begin{aligned} R_{\mathrm{a}} &= \dfrac{R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{ca}}}{R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}}} \\ R_{\mathrm{b}} &= \dfrac{R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{bc}}}{R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}}} \\ R_{\mathrm{c}} &= \dfrac{R_{\mathrm{bc}}R_{\mathrm{ca}}}{R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}}} \end{aligned} \)
3行並んでいますが、規則はひとつです。3本とも分母は同じでΔ3辺の合計であり、変わるのは分子だけで、求めたい端子につながっている2辺を掛けるという形になっています。
\( R_{\mathrm{a}} \) の分子に \( R_{\mathrm{bc}} \) が入っていないのは、\( \mathrm{b} \) と \( \mathrm{c} \) を結ぶ辺が端子 \( \mathrm{a} \) に触れていないからです。添字を暗記するのではなく、図の上で「aに刺さっている2本はどれか」を目で追えば毎回書けます。
書き出した式が合っているかどうかは、単位を見ればその場で確かめられます。分子は抵抗どうしの積なので \( \Omega^{2} \)、分母は抵抗の和なので \( \Omega \) となり、割った結果は \( \Omega \) に戻ります。分母を書き忘れたり、分子に3辺すべてを掛けたりすると \( \Omega^{2} \) のままになるので、その場で誤りに気づけます。
3辺がすべて同じ値 \( R_{\Delta} \) の場合を入れてみます。
\( R_{\mathrm{Y}} = \dfrac{R_{\Delta}\times R_{\Delta}}{3R_{\Delta}} = \dfrac{R_{\Delta}}{3} \)
三相回路でΔ結線の負荷をY結線に直すときの3分の1は、この式の特別な場合です。平衡の3分の1は別公式ではなく、同じ式に同じ数を入れただけです。
この式が出てくる理由
Δ-Y変換が成り立つ条件は「外の端子から見た抵抗が、置き換えの前後で等しい」ことです。端子は3つあるので、見る組み合わせも3通りあります。
たとえば端子 \( \mathrm{a} \)-\( \mathrm{b} \) 間から見ると、Y側は \( R_{\mathrm{a}}+R_{\mathrm{b}} \) の直列です。Δ側は \( R_{\mathrm{ab}} \) と、\( \mathrm{c} \) を経由する \( R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}} \) との並列になります。\( S=R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}} \) と置くと、3組の条件は次のように書けます。
\( \begin{aligned} R_{\mathrm{a}}+R_{\mathrm{b}} &= \dfrac{R_{\mathrm{ab}}(R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ca}})}{S} \quad \cdots (1) \\ R_{\mathrm{b}}+R_{\mathrm{c}} &= \dfrac{R_{\mathrm{bc}}(R_{\mathrm{ca}}+R_{\mathrm{ab}})}{S} \quad \cdots (2) \\ R_{\mathrm{c}}+R_{\mathrm{a}} &= \dfrac{R_{\mathrm{ca}}(R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{bc}})}{S} \quad \cdots (3) \end{aligned} \)
未知数が3つで式が3本なので、あとは連立するだけです。ここで \( R_{\mathrm{a}} \) だけを残したいので、\( (1)+(3)-(2) \) を作ります。左辺は \( R_{\mathrm{b}} \) と \( R_{\mathrm{c}} \) が打ち消し合って \( 2R_{\mathrm{a}} \) だけが残り、右辺の分子は次のように整理できます。
\( R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{bc}}+R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{ca}}+R_{\mathrm{ca}}R_{\mathrm{ab}}+R_{\mathrm{ca}}R_{\mathrm{bc}}-R_{\mathrm{bc}}R_{\mathrm{ca}}-R_{\mathrm{bc}}R_{\mathrm{ab}}=2R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{ca}} \)
両辺を2で割れば、先ほどの \( R_{\mathrm{a}}=R_{\mathrm{ab}}R_{\mathrm{ca}}/S \) が出ます。3本の式を足し引きするだけなので、公式を忘れても作り直せます。
同じ3本を \( R_{\mathrm{ab}} \) などについて解き直せば、逆向きのY→Δ(2つずつの積の和 ÷ 向かいの抵抗)も同じ場所から出てきます。分数のまま足し引きするので、途中式でつまずきやすい方は式展開のワナもあわせてご覧ください。
令和7年度下期 理論 問16をΔ→Y変換で解く
冒頭で触れた問題を、実際に解いてみます。(a) はΔ-Y変換を使わずに解けるので、そこから順に見ていきます。

図1では端子 \( \mathrm{a} \)-\( \mathrm{d} \) 間に電源がつながり、そのあいだに3つの経路が並んでいます。上の経路が \( 16+4=20\,\Omega \)、下の経路が \( 4+16=20\,\Omega \)、中央が赤枠の \( R \) です。
電源から出る \( I_{1}=4.5\,\mathrm{A} \) のうち \( R \) を通るのが \( I_{2}=0.5\,\mathrm{A} \) ですから、残りの \( 4.0\,\mathrm{A} \) が \( 20\,\Omega \) の2本に半分ずつ流れます。1本あたり \( 2.0\,\mathrm{A} \) なので \( E=2.0\times20=40\,\mathrm{V} \)、よって \( R=40/0.5=80\,\Omega \) です。ここまではΔ-Y変換を使うまでもありません。
ここからが本題です。(a) で求めた \( R=80\,\Omega \) をそのまま使って、「図1の抵抗 \( R \) を図2のように端子 \( \mathrm{b} \)-\( \mathrm{c} \) 間へ接続し直したとき、回路に流れる電流 \( I_{3} \) はいくらか」という (b) を、Δ-Y変換で解いていきます。

図2がその回路です。橋渡しの枝が1本入った瞬間、直列と並列だけでは追えない形になります。
先に平衡かどうかを確かめます。向かい合う辺の積は \( 16\times16=256 \) と \( 4\times4=16 \) で等しくないため非平衡で、橋渡しの枝を外す手は使えません。
そこで赤枠の三角形をΔ→Yに変換します。\( \mathrm{a} \)・\( \mathrm{b} \)・\( \mathrm{c} \) を選ぶ理由は、この3点以外に外へ出ていく線がないからです。3辺は \( 16\,\Omega \)・\( 80\,\Omega \)・\( 4\,\Omega \) で、和は \( 100\,\Omega \) になります。
\( \begin{aligned} R_{\mathrm{a}} &= \dfrac{16\times4}{100} = 0.64\,\Omega \\ R_{\mathrm{b}} &= \dfrac{16\times80}{100} = 12.8\,\Omega \\ R_{\mathrm{c}} &= \dfrac{4\times80}{100} = 3.2\,\Omega \end{aligned} \)
3辺が \( 16 \)・\( 80 \)・\( 4 \) とばらばらなので、3分の1では1つも出てきません。単位はどれも \( \Omega^{2}/\Omega=\Omega \) に戻っていて、書き間違いがないことも同時に確かめられます。

変換後は、中性点 \( \mathrm{o} \) から2つの経路に分かれるだけの回路になります。\( \mathrm{b} \) を通る経路が \( 12.8+4=16.8\,\Omega \)、\( \mathrm{c} \) を通る経路が \( 3.2+16=19.2\,\Omega \) で、この2本が並列です。
\( \begin{aligned} R_{\mathrm{od}} &= \dfrac{16.8\times19.2}{16.8+19.2} = 8.96\,\Omega \\ R_{\mathrm{ad}} &= 0.64+8.96 = 9.6\,\Omega \end{aligned} \)
あとは電源電圧を合成抵抗で割るだけです。\( I_{3}=40/9.6 \fallingdotseq 4.17\,\mathrm{A} \) となり、選択肢では (4) の \( 4.2\,\mathrm{A} \) が答えになります。
出典:令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問16(一般財団法人 電気技術者試験センター)。図1・図2は同問題の図を引用し、解説用に赤枠と見出しを追記しています。
過去問で解き方を固める
Δ-Y変換そのものは、ここまでの内容で足ります。あとは実際の設問で、どの三角形を選ぶかを迷わず決められるかどうかです。
理論科目全体をどの順番で押さえるかは電験3種 理論の過去問を解いた記録で、つまずきやすい問題を挙げながら整理しています。
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まとめ
- ✓ Δ→Y変換は「その端子の両隣の積 ÷ Δ3辺の和」の1本。添字ではなく図の上で2辺を目で追えば毎回書ける
- ✓ 3辺が同じなら \( R_{\mathrm{Y}}=R_{\Delta}/3 \)。三相でおなじみの3分の1は同じ式の特別な場合で、対称にならない回路ではおおもとの式のほうが要る
- ✓ 式の出どころは「端子から見た抵抗が前後で等しい」3本の条件式。\( (1)+(3)-(2) \) で \( R_{\mathrm{a}} \) だけが残る
- ✓ 令和7年度下期 理論 問16(b) は三角形 \( \mathrm{a} \)-\( \mathrm{b} \)-\( \mathrm{c} \) をΔ→Yに直すと \( 0.64 \)・\( 12.8 \)・\( 3.2\,\Omega \) となり、合成 \( 9.6\,\Omega \)・\( I_{3} \fallingdotseq 4.17\,\mathrm{A} \) で選択肢(4)
Δ-Y変換は、公式を2本抱える単元ではなく「両隣の積 ÷ 3つの和」を1本持っておけば足りる単元です。導出も足し引きだけなので、記憶があやしくなったらその場で作り直せます。
式の形があやふやになったときは、両隣の積を分子に、3辺の和を分母に、と手を動かして確かめてみてください。引き続き当ブログをよろしくお願いいたします!
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