皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
以前書いた電験1種の合格体験記で紹介していた対称座標法の参考書について、読者の方から紹介していた2冊のうち1冊が絶版になっているというご連絡を受けました。
後継書(?)も併せて教えていただきましたので、今回は↑で紹介していた2冊と後継書(?)の比較レビューをしてみたいと思います。
そもそも対称座標法とは?
対称座標法は電験1種二次試験の電力・管理において、受験者泣かせとなることが多い代表的な計算問題として出題されます。具体的には、発電→送電路の1線地絡や2相短絡などの非対称の電力故障時に流れる不平衡電流を、3×3正方行列を使って計算する問題です。
電験2種を勉強している方はまだ勉強していないことと分かるかと思いますが、これは1種になってから(ほぼ)初登場となる単元です。
そういうこともあり、電験1種の勉強で初めて勉強する方が殆どです。が、電験1種は参考書が豊富でないこともあり、その参考書を探すところから結構難しいです。
前回の記事で紹介したように、今となっては紙田先生を存じ上げていますので、その方の別の参考書に対称座標法が収録されていることも知ってはいます。
知ってはいますが、対称座標法に割かれているページ数的に、それだけのために参考書を1つ買うことはコストパフォーマンス的に難しいです。
ということで、私が探し出して購入した参考書はコチラです。
このうち「対称座標法の初歩」が絶版となり、代わりに紹介いただいた参考書がコチラです。
ということで、この3冊について比較レビューをしてみたいと思います。
対称座標法の初歩
「初歩」ということもあり、かなり導入にページを割いています。が、行列が登場するのは全体の2/3を過ぎた辺りからです。それ以降に行列を使用して1線地絡や2線地絡の計算の説明をしていますので、導入本としては十分かと思います。
故障回路の計算
こちらも最初に導入にページを割いています。が、こちらは初めから最後まで行列を使用していません。
こちらの参考書では電験1種の試験問題にある様な、
発電機→変圧器→送電路→変圧器→負荷
の問題が取り扱われています。もちろん、故障発生ポイントは送電路で、その場合の零相回路、正相回路、逆相回路のかき分けもきちんとしてあります。
また、電験1種一次試験機械で出題される「同期機の3相短絡時における1相分の電流波形」について解説がありましたので、この本はそこそこ重宝しました。
演習問題についてはそこそこ豊富なのですが、その解説が全くなく答えのみです。私の場合は、(行列でない)例題を見ながら何度か行列で計算し直して、ようやく答えにたどり着いた問題もありました。
対称座標法と不平衡三相回路の解析
いきなりですが、この参考書は素晴らしいです笑 簡単に言うと、これまでの参考書2冊の良いところを足し合わせた感じです。
先ず何より、最初から最後まで行列で書いているのが良いですね。私が勉強していたときは、自分の中で行列に変換して勉強していましたから、これだけで効率が良いことが分かります。
また、内容については一次試験機械の内容こそありませんでしたが、電験1種二次試験の範囲は完全にカバーしています。その演習問題は「故障回路の計算」と同じく解説が無かったものの、例題をきちんと理解していれば答えられる程度の難易度だと思います。
まとめ
対象座標法は電験1種二次試験で計算問題として本格的に登場してきました。とはいえ、電験2種に合格してきた計算力があれば、きちんと基礎を理解することができるはずです。
対称座標法と不平衡三相回路の解析は二次試験の範囲に過不足なく対応できます。
一次試験の不平衡事故のところのみ不安な方は、まず故障回路の計算を購入してはいかがでしょうか。
それでは次回!