皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
「3倍角の公式の覚え方が知りたい」——そう思って検索された方が多いのではないでしょうか。覚え方には大きく語呂合わせで丸暗記する方法と、加法定理から導出して作る方法の2通りがあります。本記事では両方を紹介したうえで、電験でおすすめなのは「加法定理さえ覚えて、あとは作る」やり方だという結論をお伝えします。
倍角・半角・3倍角は、どれも加法定理という1つの公式から導けます。数が多くて紛らわしい公式こそ、覚える起点を絞ったほうがミスが減ります。
📌 この記事でわかること
- ✓ 3倍角・倍角・半角の公式の「語呂合わせ」での覚え方
- ✓ 語呂を丸暗記せず、加法定理ひとつから導出する方法
- ✓ \(\sin 3\theta\)・\(\cos 3\theta\) を具体的な計算過程つきで導く手順
- ✓ 電験の三角関数で「覚える公式」を最小限に絞るコツ
加法定理を起点にすると、覚えなくて済む公式は以下の3種類です。
- 倍角の公式
- 半角の公式
- 三倍角の公式
3倍角・倍角・半角の公式の覚え方は2通り
本題の導出に入る前に、まず「覚え方」を整理しておきます。公式の覚え方は次の2通りです。
方法①:語呂合わせで丸暗記する
いちばん手っ取り早いのは語呂合わせです。受験サイトで定番として広く使われているものを挙げておきます。
3倍角の公式の語呂合わせ(受験サイトの定番)
- \(\sin 3\theta=3\sin \theta-4\sin ^3\theta\) →「サンシャイン引いて夜風が身にしみる」(サンシャイン=\(3\sin \theta\)、夜(よ)=4、あいだはマイナス)
- \(\cos 3\theta=4\cos ^3\theta-3\cos \theta\) →「よい子のみんなで引っ張る神輿」(よい子=\(4\cos ^3\theta\)、係数の3・4と符号を思い出す取っかかりに)
いずれも高校数学・受験対策サイトでよく紹介されている語呂です。数字の3と4、そして符号(マイナス)さえ取り違えなければ、丸暗記でも十分に通用します。
ただし語呂合わせには弱点があります。倍角・半角も含めると覚える語呂が増えていき、しかも符号(プラス・マイナス)や係数(3・4)を取り違えると、そのまま失点につながります。
方法②:加法定理から導出して作る(電験のおすすめ)
そこで当ブログがおすすめするのが、語呂を何本も覚えるより、加法定理ひとつを起点にして毎回その場で作るやり方です。公式を「暗記するもの」ではなく「導出するもの」と捉える発想は、電験の微分積分など他の単元でも同じように効いてきます。
本記事ではこの方法②を、\(\sin 3\theta\)・\(\cos 3\theta\) まで具体的な計算過程つきで示します。数学そのものの土台に不安がある方は、先に電験2種向けの数学参考書の記事で足場を固めておくと理解が早くなります。
そもそも加法定理とは
加法定理の公式は以下となります。
\cos (\alpha + \beta)&=\cos \alpha\cos \beta \boldsymbol{-} \sin \alpha\sin \beta\\ \end{align}
加法定理の導出から暗記しようとすると埒が明かないので、ここは暗記してしまいましょう。
語呂合わせの覚え方は
- \(\sin (\alpha + \beta)\)
→「咲いたコスモス、コスモス咲いた」
※冒頭のサインと咲いたをくっ付けるのがポイント - \(\cos (\alpha + \beta)\)
→「コスモスコスモス、咲いた咲いた」
※冒頭のコサインとコスモスをくっ付けるのがポイント。こっちはマイナス
です。
これを起点として3種類の公式を導出していきます。
倍角の公式
ポイントは分割です。\(2\theta\)を\(\theta+\theta\)として、加法定理を利用します。
\(\sin 2\theta=2\sin \theta\cos \theta\)の導出
\(\sin \)の加法定理を使っていきます。
\begin{align}\sin 2\theta&=\sin (\theta+\theta)\\
&=\sin \theta\cos \theta + \cos \theta\sin \theta\\
&=2\sin \theta\cos \theta\\ \end{align}
\(\cos 2\theta=2\cos ^2\theta-1\)等の導出
\(\cos \)の加法定理を使っていきます。
\begin{align}\cos 2\theta&=\cos (\theta+\theta)\\
&=\cos \theta\cos \theta – \sin \theta\sin \theta\\
&=\cos ^2\theta-\sin ^2\theta\\ \end{align}
これも公式として紹介はされていますが、\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)を使えば、別の形の公式として式(1)(2)を導出できます。
\begin{align}\cos ^2\theta-\sin ^2\theta&=(1-\sin ^2\theta)-\sin ^2\theta\\
&=1-2\sin ^2\theta …(1)\\
&=1-2(1-\cos ^2\theta)\\
&=2\cos ^2\theta-1 …(2)\\ \end{align}
半角の公式
ポイントは置き換えです。倍角の公式を使って、\(\theta\)を\(\frac{\theta}{2}\)に置き換えます。
\(\sin \frac{\theta}{2}=\pm \sqrt{1-\cos \theta}\)の導出
式(1)
\begin{align}\cos 2\theta&=1-2\sin ^2\theta\\ \end{align}
について、\(\theta\)を\(\frac{\theta}{2}\)に置き換えると、
\begin{align}\cos 2\times\frac{\theta}{2}&=1-2\sin ^2\frac{\theta}{2}\\
\sin ^2\frac{\theta}{2}&=\frac{1-\cos \theta}{2}\\
\therefore \sin \frac{\theta}{2}&=\pm \sqrt{\frac{1-\cos \theta}{2}}\\
\end{align}
となります。\(\theta\)がどの象限の角度かによって\(\frac{\theta}{2}\)の象限が決まり、\(\sin \frac{\theta}{2}\)の正負が決まります。
このように、\(\sin \)の半角の公式は、加法定理→倍角の公式→半角の公式の順で導出できます。
\(\cos \frac{\theta}{2}=\pm \sqrt{1+\cos \theta}\)の導出
式(2)
\begin{align}\cos 2\theta&=2\cos ^2\theta-1\\ \end{align}
について、\(\theta\)を\(\frac{\theta}{2}\)に置き換えると、
\begin{align}\cos 2\times\frac{\theta}{2}&=2\cos ^2\frac{\theta}{2}-1\\
\cos ^2\frac{\theta}{2}&=\frac{1+\cos \theta}{2}\\
\therefore \cos \frac{\theta}{2}&=\pm \sqrt{\frac{1+\cos \theta}{2}}\\
\end{align}
となります。\(\theta\)がどの象限の角度かによって、\(\cos \frac{\theta}{2}\)の正負が決まります。
このように、\(\cos \)の半角の公式も、加法定理→倍角の公式→半角の公式の順で導出できます。
3倍角の公式
これについてもポイントは分割です。\(3\theta\)を\(2\theta+\theta\)として、倍角の公式を2回連続して利用します。
\(\sin 3\theta=3\sin \theta-4\sin ^3\theta\)の導出
\(\sin \)の加法定理を使っていきます。
\begin{align}\sin 3\theta&=\sin (2\theta+\theta)\\
&=\sin 2\theta\cos \theta + \cos 2\theta\sin \theta\\
\end{align}
どんどん\(\cos \)は消去していきたいので、\(\cos 2\theta\)には式(1)\(1-2\sin ^2\theta\)を代入します。
\begin{align}& \ \ \ \ \ 2\sin \theta\cos \theta\cos \theta + (1-2\sin ^2\theta)\sin \theta\\
&=2\sin \theta\cos ^2\theta +\sin \theta -2\sin ^3\theta\\
&=2\sin \theta(1-\sin ^2\theta) +\sin \theta -2\sin ^3\theta\\
&=2\sin \theta-2\sin ^3\theta +\sin \theta -2\sin ^3\theta\\
&=3\sin \theta-4\sin ^3\theta\\
\end{align}
このように、\(\sin \)の3倍角の公式は、加法定理→倍角の公式→3倍角の公式の順で導出できます。途中の式変形でつまずきやすい方は、式展開でハマりやすいワナを整理した記事もあわせてどうぞ。
\(\cos 3\theta=-3\cos \theta+4\cos ^3\theta\)の導出
\(\cos \)の加法定理を使っていきます。
\begin{align}\cos 3\theta&=\cos (2\theta+\theta)\\
&=\cos 2\theta\cos \theta – \sin 2\theta\sin \theta\\
\end{align}
どんどん\(\sin \)は消去していきたいので、\(\cos 2\theta\)には式(2)\(2\cos ^2\theta-1\)を代入します。
\begin{align}& \ \ \ \ \ (2\cos ^2\theta-1)\cos \theta – 2\sin \theta \cos\theta\sin \theta\\
&=2\cos ^3\theta-\cos \theta – 2\sin ^2\theta \cos\theta\\
&=2\cos ^3\theta-\cos \theta – 2(1-\cos ^2\theta)\cos\theta\\
&=2\cos ^3\theta-\cos \theta – 2\cos\theta+2\cos ^3\theta\\
&=-3\cos \theta+4\cos ^3\theta\\
\end{align}
このように、\(\cos \)の3倍角の公式も、加法定理→倍角の公式→3倍角の公式の順で導出できます。先ほどの語呂「よい子のみんなで引っ張る神輿」\((=4\cos ^3\theta-3\cos \theta)\)と、並び順が違うだけで同じ式です。
まとめ
- ✓ 3倍角・倍角・半角の公式は、加法定理ひとつから全部導出できる
- ✓ 覚えるのは加法定理と「分割・置き換え」の2つだけ
- ✓ 語呂合わせでの丸暗記もアリだが、数が増えると符号・係数のミスが出やすい
- ✓ 倍角→半角→3倍角の順に、前の結果を使って作っていける
覚える公式を最小限に絞れば、その分だけ過去問演習に頭を使えます。三角関数は電験の計算問題の土台なので、「加法定理から作る」感覚が身につくと、本番で公式を思い出せなくても慌てずに済みます。
引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。それでは次回!
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θ+θ=2θ
2年くらい勉強してましたが全く気づかなかったです!ありがとうございました
数学の独学には盲点がありますよね笑
そういったことを発信していければと思います!