電験2種

有効数字は計算途中で切り捨て?四捨五入?|丸めるのは答えだけが正解【電験の公式ルール】

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

「有効数字は3桁で答えよ」と指定されたとき、計算の途中も3桁に丸めてよいのか。丸めるとしたら切り捨てなのか、四捨五入なのか。読者の方からいただいた質問をきっかけに整理した内容を、現在のルールに合わせて書き直しました。

結論から書きます。計算の途中では丸めず、丸めるのは最後の答えだけというのが電験の公式ルールです。その根拠と、途中で丸めたときに何が起きるのかを、試験センターの問題冊子と実際の数値で確かめていきます。

📌 この記事でわかること

  • 有効数字は計算途中で切り捨てでも四捨五入でもなく「丸めない」が正解である理由
  • 電験1種・2種の二次試験で公式に決まっているルールとその原文
  • 「4桁目を四捨五入」が明記されたのは令和4年度からだという経緯
  • 途中で3桁に丸めると答えが1つずれる具体例
  • \( \sqrt{3} \) や \( \pi \) を何桁まで覚えておけばよいか

結論:計算の途中では丸めない

有効数字の指定は「答えを何桁で書くか」の指定です。途中に出てくる数値は答えではありませんので、桁を落とす理由がありません。

途中で桁を落とすと、そこで捨てた分がそのまま誤差として最後の答えに乗ってきます。電卓の表示のまま次の式へ入れる、書き写すときは指定より2桁ほど多く残す。この2つを守れば、切り捨てか四捨五入かで悩む場面自体がなくなります。

3桁で答えよと指定されたときの手順

  1. 途中の数値は丸めない。書き写すときも5桁程度は残す
  2. 次の式には、丸める前の数値を代入する
  3. 最後の答えだけ、4桁目を四捨五入して3桁にする
ケンタ
ケンタ
切り捨てか四捨五入かで迷っていた方は、「途中はそもそも丸めない」と覚えてしまった方が早いです。

電験の公式ルールは「答は3桁(4桁目を四捨五入)」

電験1種・2種の二次試験は、問題冊子の冒頭に「答案用紙記入上の注意事項」が付いています。有効数字の扱いはそこに明記されています。

答は,問題文で指定がない限り,3桁(4桁目を四捨五入)です。なお,解答以外の数値の桁数は,誤差が出ないよう多く取ってください。

令和7年度の問題冊子に明記された「答は3桁(4桁目を四捨五入)」の注意事項

出典:令和7年度 第二種電気主任技術者二次試験「電力・管理」問題冊子(一般財団法人 電気技術者試験センター)。赤枠は筆者による加筆です。

読みどころは2か所です。答えは4桁目を四捨五入すること、そして解答以外の数値は誤差が出ないよう桁を多く取ること。冒頭の結論は、この後半部分がそのまま根拠になります。

注意事項には例題まで載っています。線電流を \( I=32.075\,\mathrm{A} \) と5桁で求めておいて、答えとしては 32.1 A と書く。続く損失の計算には丸める前の 32.075 を代入して \( 205.76\,\mathrm{W} \)、答えは 206 W という流れです。

「問題文で指定がない限り」という前置きも効いてきます。令和7年度・1種の電力・管理 問6では、系統周波数について「有効数字は小数点以下1桁とする」「小数点第2位まで求めよ」と桁数が指定されていました。指定があればそちらが優先されます。

答案の書き方そのもの(文字の定義・計算をどこまで書くか)は二次試験の解答の書き方は受験者によってまちまち?で別途まとめています。

「4桁目を四捨五入」が明記されたのは令和4年度から

この記事を最初に書いた2018年の時点では、注意事項の文言が違いました。「計算問題の答は、特に指定がない限り、有効数字は3桁です」とだけ書かれていて、丸め方には触れられていません。

平成29年度の問題冊子に載っていた有効数字の注意事項

当時は仕方がないので、標準解答の方を調べました。平成25年度から29年度までを並べると、切り捨てと四捨五入が混在していたのです。

四捨五入
切り捨て
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度
平成25年度

この文言は平成30年度から令和3年度までそのままで、令和4年度の二次試験から「(4桁目を四捨五入)」の括弧書きが加わりました。令和5年度以降も同じ文言が続いています。

つまり当時の「どちらでも良さそう」という結論は、いまは公式に決着がついています。答えの丸め方は四捨五入です。

ケンタ
ケンタ
令和7年度・1種の標準解答でも、熱効率を \( 0.44478 \) と求めてから \( 0.445 \) と答えています。切り捨てなら \( 0.444 \) ですね。

途中で3桁に丸めると、答えが1つずれる

途中で丸めると何が起きるかを、注意事項の例題そのままの数値で確かめてみます。線路抵抗だけを \( 0.5\,\mathrm{\Omega} \) に変えて、1線当たりの損失を求めます。

まず、丸めずに \( I=32.075\,\mathrm{A} \) を代入した場合。

\begin{align}P_{\mathrm{L}}&=I^2R\\
&=32.075^2\times 0.5\\
&=514.4028\\
&\fallingdotseq 514\,[\mathrm{W}]\\
\end{align}

次に、線電流を答えの 32.1 A に丸めてから代入した場合。

\begin{align}P_{\mathrm{L}}&=32.1^2\times 0.5\\
&=515.205\\
&\fallingdotseq 515\,[\mathrm{W}]\\
\end{align}

514 W と 515 W。たった1回丸めただけで、3桁目が動きました

ずれの大きさは約0.16 %ですが、有効数字3桁の最後の1桁はもともと0.1 %から1 %程度の分解能しか持っていません。丸めで入る誤差と同じオーダーですので、途中で丸めれば最後の桁が動くのはむしろ自然なことです。

元の例題(\( R=0.2\,\mathrm{\Omega} \))では、たまたま丸めても206 Wのままです。手元の1問で答えが合ったからといって、その手順が安全とは限らないところに注意してください。

√3やπは何桁まで覚えておくか

計算用紙と電卓

途中を丸めないとなると、無理数も相応の桁で持つ必要が出てきます。とはいえ \( \sqrt{3} \) は電卓の √ キーを押せば表示いっぱいの桁が出ますので、暗記は必須ではありません。

答案に書き写すときも、5桁で止めて問題ありません。先ほどの例題を \( \sqrt{3}=1.7320 \)(切り捨て)と \( \sqrt{3}=1.7321 \)(四捨五入)で計算し直すと、こうなります。

  • \( \sqrt{3}=1.7320 \) → \( I=32.076\,\mathrm{A} \) → 答え 32.1 A、\( P_{\mathrm{L}}=514\,\mathrm{W} \)
  • \( \sqrt{3}=1.7321 \) → \( I=32.074\,\mathrm{A} \) → 答え 32.1 A、\( P_{\mathrm{L}}=514\,\mathrm{W} \)

どちらでも答えは一致します。効いてくるのは丸め方ではなく、何桁残したかの方です。5桁持っておけば、切り捨てでも四捨五入でも3桁の答えは動きません。

\( \pi \) も同じで、答えを3桁で出すだけなら \( 3.1415 \) で足ります。ただし1種・2種の二次試験は計算量が多いぶん、途中を有効数字5桁で回す前提に立っておいた方が安全です。電験王のQ&Aでも、一種・二種の二次試験(記述式)は有効数字5桁で計算する必要があるとされています。

5桁で回すのであれば、\( \pi \) は7桁、\( 3.141592 \) まで持っておくと桁数に余裕が残ります。少し大変ですが、覚えておいて損はありません。

ケンタ
ケンタ
途中の値を紙に書き写さず、電卓のメモリに入れたまま次の計算へ渡すのが一番確実です。私が二次試験で電卓の選び方と使い方にこだわっているのは、このあたりの理由もあります。

メモリ機能の中身が見える2画面電卓を試した話はツイン液晶電卓が『使える』ものか検証してみたに書いています。

電験3種のマークシートでは何が変わるか

電験3種は答えを選択肢から選ぶ方式ですので、答えを何桁で書くかを判断する場面がありません。有効数字の書き方で迷うことになるのは、記述式である1種・2種の二次試験の方です。

それでも「途中は丸めない」という手順そのものは3種のうちから身につけておいて損がありません。二次試験まで進んだときに、そのまま使えます。

選択肢が文字式で与えられる問題については、計算結果と選択肢の文字式を一致させる簡単な方法でも触れています。

まとめ

  • 有効数字の指定は答えの桁数の指定。計算の途中は丸めない
  • 電験1種・2種の二次試験は「答は3桁(4桁目を四捨五入)」が公式ルール
  • 解答以外の数値は「誤差が出ないよう多く取る」と注意事項に明記されている
  • 途中で3桁に丸めると答えの3桁目が動く(514 W が 515 W になる例)
  • 途中の丸め方は切り捨てでも四捨五入でもよい。5桁残すことの方が効く
  • 問題文に桁数の指定があれば、そちらが優先される

2018年に書いた時点では答えの出せなかった論点が、注意事項の改訂で決着しました。減点されるかどうかを気にして手を止めるより、途中は丸めないと決めてしまう方が、本番の時間も気持ちも節約できます。

引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。それでは次回!

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POSTED COMMENT

  1. 恥ずかしいので今回は匿名で より:

    タイトルと全く関係なくて大変恐縮なのですが、
    問題のRが0.2というのは
    どうやって求めれば良いのでしょうか?

    • ケンタ より:

      >恥ずかしいので今回は匿名で さん
      コメントありがとうございます!

      よく問題文を見られていますね。
      私の打ち込み忘れでした笑

      ご指摘ありがとうございました!

  2. 八咫烏 より:

    ケンタ 様

    お世話になります。

    加減のみ、乗除のみでの有効数字の取り扱いは比較的簡単ですが、これらが混合した時の扱いには苦慮しています。

    ケンタ 様にはどのようにお取り扱いでしょうか。

    • ケンタ より:

      >八咫烏さん
      コメントありがとうございます!

      桁落ちのことでしようか?
      正確性をもって突き詰めるのは大変そうでしたので、敢えてこの記事から省いていたのですが笑

      そういうときは私は桁数を多く計算しています。

  3. 匿名 より:

    はじめまして
    内容と関係ないことですみません。

    Q.電圧200Vの三相交流回路に10kWの負荷(遅れ力率0.9)が接続されている。なお、線路抵抗は一線あたり0.2$\Omega$とする。このとき以下の2つを求めよ。ただし、有効数字は3桁とする。
     (1)線電流$I[\mathrm{A}]$  (2)一線あたりの損失$P_{\mathrm{L}}[\mathrm{W}]$

    のように、単位や式のところが$ではさまれて表示されてしまい困っています。
    解決方法をご存じでしたら、教えてください。

    • ケンタ より:

      >匿名様
      お世話になります。ケンタです。
      コメントみておりますが,本業が忙しく返信できておらずすみません。

      数式の表示がおかしいのは私の画面からもです。。。
      まとまった時間が必要なので,週末何とか時間を見つけて対応します。

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