電気管理技術者

【コメント大歓迎!】電気主任技術者と電気管理技術者と電気保安法人の違い

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

 

今日は試験から少し離れまして、電気主任技術者の免状を取得したあとの選択肢について今一度整理してみたいと思います。

ビルメン業界の方であれば、取得後は早速即戦力として電気主任技術者に選任されることになるかと思います。そして一部には、その先にある電気管理技術者としての独立(もしくは電気保安法人への転職)を考えている方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

ただ、この電気管理技術者電気保安法人については、混同されている方がよく見受けられます。かく言う私も最初は分かりませんでした。何故書き分けているのか?と。

今は結構頭の中が整理されてきましたので、備忘も兼ねてまとめてみたいと思います。

ケンタ
ケンタ
とは言いつつも、電気管理技術者とかは私には未知の業界であることには変わりありませんので、表現が正確でなかったり、根本的に間違っている部分があるかと思います。
その場合は下のコメント欄なり、私個人への問い合わせなりで訂正していただけると助かります!

電気主任技術者?電気管理技術者?電気保安法人?

電気主任技術者免状を使ってできることはいくつかあります。そのタイプは

  1. 電気主任技術者
  2. 電気管理技術者
  3. 電気保安法人の保安業務従事者

の3つです。

最後だけ書き方が少し違います。電気保安法人はその名の通り法人であって個人ではないので、免状を持っている人は保安業務従事者として業務をすることになります。

ネットの記事や書き込みを見ていると、この3つを混同して書いたりしているところを見かけます。しかも結構…

ということで、今回はこれら3つの違いを書いていきます。

ケンタ
ケンタ
お金とかの生々しいところは今回省きます!

電気主任技術者

一部契約社員も居ますが、基本的に正社員のサラリーマンです。

会社の設備課に配属されて、自社ビル(工場であれば生産施設)の電気設備をみます。1つの設備を見続けて、そのビルの法定点検(停電を伴う年次点検)をしつつ、生産設備の更新もします。

というか、設備課としては生産設備の更新管理(選定とか)がメインで、法定点検は法的にやらないければいけないからやっている感じです。

その他、1人で複数の電気主任技術者を兼任しているタイプも有り、その場合は拠点の事務所から複数のビルを点検して回ります。兼任している場合は、年に複数回それぞれのビルで年次点検をすることになります。

電気管理技術者

電気設備の試験や点検に必要な機器器具を持っていることや、最初の顧客がいることが細かな条件としてありますが、電気主任技術者の種別によって異なる以下の期間の実務経験を得れば、電気管理技術者になることができます。

第1条  規則第52条の2第一号ロの要件は、事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する実務に従事した期間(電気主任技術者免状の交付を受けた日前における期間については、1/2に相当する期間)が、通算して、次に掲げる期間以上であることとする。

  1. 第1種電気主任技術者免状の交付を受けている者  3年
  2. 第2種電気主任技術者免状の交付を受けている者  4年
  3. 第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者  5年
ケンタ
ケンタ
ここからだけでは読み取れませんが、免状を持っていて実務に従事していても選任されていなければ、要件を確認する産業保安監督部に年数を少なく見積もられることがあるようです。

下記1~3全ての設備条件に適合する小規模需要設備のみを受託する場合は、実務に従事した期間を種別ごとに1年減ずる事ができます。

  1. 設備容量が300kVA以下のもの
  2. 受電設備がキュービクル式であるもの
  3. 主遮断装置がPF・S形のもの

電気管理技術者は、以下の設備の所有者から外部委託を受けて、その設備の保安業務に従事することができます。

  1. 7000V以下で受電する需要設備
  2. 出力2000kW未満の発電所(原子力発電所を除く)
  3. 600V以下配電線路を管理する事業場

電気保安法人における保安業務従事者

上記青枠内の実務経験を有していれば電気保安法人の保安業務従事者になることができ、その実務経験者を雇う電気保安法人も同じく電気管理技術者が受託可能な物件を受託することができます。

 

よく耳にする「〇〇(←地方名)電気保安協会」というのは、ジャンルとしては電気保安法人に分類されます。と言いますか、もともとは法人格としては電気保安協会しか電気保安業務を認められていなかったのですが、2004年の規制緩和により例えば清掃業を営む会社でも、電気保安業のみを行う専門部署を作れば受託できるようになりました。もしくは、新たに電気保安業のみを行う会社を設立できるようになりました。

ですので、「△△保安法人」というのは2004年以降に新規参入してきた会社であり、実務経験ありの電気主任技術者免状取得者の求人を出している大部分がここにあたります。

 

規制緩和により保安協会がどのくらい他社に顧客を取られたのかは分かりませんが、外部委託が可能な電気工作物のうち、なんと9割が実際に外部委託を行っいて、

電気保安法人のシェアは49.4%(恐らく部件数の割合)となっています。

対して、電気管理技術者のシェアは24.7%です。

  1. 電気管理技術者の方が受託可能点数に余裕があるからか
  2. 電気保安協会が小さい物件を沢山受託しているからか
  3. それともそもそも人の数が違うからか

は業界外からは分かりませんが、シェアとしてはこのような感じになっています。

3種類を分類分け

ざっとそれぞれについて説明をしてきました。今度はこういったことはどうなの?という観点から、3種類を分類分けしてみます。

サラリーマン or 個人事業主

サラリーマン:電気主任技術者、保安業務従事者

個人事業主:電気管理技術者

電気保安法人は法人→サラリーマンというロジックです。

定年がある or ない

ある:電気主任技術者、保安業務従事者

ない:電気管理技術者

サラリーマンだと定年があるという仕分けです。

直行直帰できる or できない

できる:電気管理技術者、保安業務従事者

できない:電気主任技術者、保安業務従事者

電気保安法人によっては直行直帰できるようですが、サラリーマンは基本的に直行直帰できないので、保安業務従事者はどちらにも該当するとしています。

電気保安業務の割合が多い or 少ない

多い:電気管理技術者、保安業務従事者

少ない:電気主任技術者

多いと言うか、それしか行ってはいけないというのが正しい表現です。一方で、電気主任技術者は生産設備の更新とかがあり、電気保安業務に相当する年次点検などの割合は少ないです。

特別高圧設備に選任される or されない

選任される:電気主任技術者

委託されない:電気管理技術者、保安業務従事者

電気主任技術者であれば、特別高圧設備に選任されることがあります。ただし、第2種電気主任技術者でなければならないものが大半ですが、第3種電気主任技術者でも選任可能な電圧の特別高圧設備があります。

一方で、外部委託可能な設備には特別高圧受電がないため、特別高圧設備を受託することはありません。

免状取得後すぐにスタートできる or できない

できる:電気主任技術者

できない:電気管理技術者、保安業務従事者

電気主任技術者の方がすぐにできると分類していても、資格を満たしているだけであって、社内ルールなどで課長以上でないと選任しないとしている会社もあります。

また、電気管理技術者ができない理由は主に実務経験が必要だからですが、顧客を見つけられないと当たり前ですがスタートすることができません。

女の子にモテる or モテない

ここは本人の資質ですね笑

差を比較してみて

このように、電気主任技術者電気管理技術者保安業務従事者は全く違います。

取り立てて後半の2つを比較してみると、業務内容こそ似ているものの、個人事業主である電気管理技術者サラリーマンである保安業務従事者は似て非なると個人的には思ってます。

一定程度の収入を得る上でのリスクしかり、ある程度成功したときの収入の差もしかり、この辺りは同じ電気保安業務をしたくてもご自身の適正と言うか、これまでの人生でどのようなリスクを取ってきたかをきちんと認識しておく必要があります。(←自分に言い聞かすように書いてます笑)

過去記事の訂正

話は変わりまして、少し前に電気管理技術者のお金関係の記事を書きました。

電気管理技術者のお金関係シミュレーション皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。 今回も電気管理技術者について考察してみました! 最近当ブ...

この内容に一部間違いがありましたので、このタイミングで訂正いたします。

誠に申し訳ございませんでした!

 

実は、実際に電気管理技術者をされているフォロワーさんから指摘をいただきました。

ケンタ
ケンタ
私自身を含めリアルの周りに電気管理技術者の方がいませんでしたし、こういうときに本職さんから指摘があるとありがたいです。

正誤表としては以下です。

誤:役員が電気主任技術者免状と実務経験を持っていても、それを法人の点数として使用できない

正:役員が電気主任技術者免状と実務経験を持っていても、それを法人の点数として使用できる

間違いに至った推測

電気事業法施行規則内規の私の読みが間違っていたようです。どのように解釈すべきだったかはわかりませんが、法人の点数として使用できている実例がある以上、それがということなのでしょう。

  • 4(2)③ 保安業務担当者は、保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く。)を兼務しないこと。

私は法人会社の経営がこの兼務事項に該当するのではないかと思っていたのですが、それは兼務事項に該当しないということですね。結果論となりますが。

この兼務事項が想定しているのは、工務関係の業務とかそういうところなのでしょう。工務とかやっていないで、きちんと電気保安業務に専念しなさいよということを言いたいと解釈することにします。

他のサポーティングインフォ

全く別のところからも根拠がほしいと思い、ネットを彷徨って色々調べてみました。調べたところ、やはり私の認識が間違いであったことを確信しました。

このサイトの「Q:保安法人を立ち上げるうえで、社長が保安業務従事者でないとだめなのですか?」に対して、「A:保安業務従事者である必要はありません。」とあるので、逆に言えば社長は保安業務従事者でもOKということです。何度も立ち上げに成功している電気保安法人設立のプロが言うのですから、恐らくそういうことなのだと思います。

ケンタ
ケンタ
というか、電気保安法人の設立をサポートする方がいらっしゃるんですね。

ケンタ
ケンタ
正解は、「担当の産業保安監督部の担当者次第」が一番正しいとのことです。詳細は「電気保安法人への道しるべ」の管理人さんからいただいた下のコメント欄をご覧下さい。

この方の他の記事にも興味深いところがありました。

1人で電気保安法人を設立したとしても、「将来は保安業務従事者を増やす」というコミットをして初めて限定的に産業保安監督部からOKを貰えるようです。ですので、本心では人を増やすつもりがないというのを見抜かれてしまったら、最悪法人格を剥奪されるかもしれません。

ケンタ
ケンタ
最悪ケースは私の推論です。

ということで、自分の点数も使えつつ法人を運営することができるわけですし、独りで節税のために法人化するなどと変なことをせずに、複数人で法人運営していったほうが無難ですね。

まとめ

これまで収集してきた電気管理技術者・電気保安法人の情報を、電気主任技術者と比較しながら一度整理してみました。

やはり電気管理技術者への興味は尽きませんね!

 

もう少し電気管理技術者について書きたいネタはあるものの、また別の機会にして今日はこのくらいで。

それでは次回!

POSTED COMMENT

  1. 電気保安法人設立ドットコムの管理人の鈴木でございます
    また、私の拙いブログを見ていただきましてありがとうございます
    ものすごくよく書かれているので、かなりお調べになったのかなと思います

    さてと、「役員が電気主任技術者免状と実務経験を持っていても、それを法人の点数として使用できる」についてですが、実はこれも正解か不正解かで言うと不正解ですね

    正解は、「担当の産業保安監督部の担当者次第」が一番正しいですね
    実は全国で対応が全く違うため、またその時の担当者によっても対応が全く違うため、どちらかを強引に正解にすることはできないのが弊社内での認識です
    もし、正解を書くのならば
    北海道産業保安監督部…
    関東東北産業保安監督部 東北支部…
    みたいにそれぞれの担当者の2018年度版まで書かないとダメですね
    それくらい地域差がありすぎますし、担当者によって180度変わるので、正解を強引に書くのならば上記のように書くしかありません

    ただ、電気保安法人設立をお手伝いをしてて思うことは、経営者は保安業務従事者の登録はしない方がベストです
    その辺りは経営になりますので、今回は省きますが、経営者は保安業務従事者にはならないのがベストです

    あと、「法人として点数を使用できる」に関しましても、大きな見方としてはいいのですが、あくまでも個人に与えられるのが換算係数ですので、法人として使用はできますが、個人毎に受託件数を管理しなくてはなりません

    弊社も、もうすぐ全国で電気保安法人設立が20件になるため、あちこちの地域を回ってますと、電気保安法人大好きな地域もあれば、電気保安法人大嫌いな地域もあります
    それもこれも、経済産業省では幹は決めてはいるが、枝葉は各々の地域の電力安全課に委ねているので、弊社としては面白い仕事を始めたと思っております

    また何か思うことがありましたらコメントさせていただきますね♪
    では、頑張ってください♪

    • ケンタ より:

      >電気保安法人設立ドットコム 鈴木さん
      コメントありがとうございます!
      正か御本人からコメントを頂けるとは思っていませんでした笑

      法人を立ち上げる側としては一番裁量の余地を残しておいてほしくないところですが、電気事業法という大きな枠組みで言えば確かに些細なところで、担当者の裁量に任せたいところなのでしょうね。
      年別エリア別の可不可を一覧にできたら良いのでしょうけど、私がするにはいちいちヒアリングしなければならないですし、鈴木さんからすれば会社のノウハウそのもので非公開としておきたいところでしょうし、ブログでは可不可があるということろを書けていれば十分だと思います。

      なにはともあれ、引き続き当ブログをよろしくお願い致します!

  2. 松原 より:

    初めまして㏋拝見いたしました。
    ちょっと分からない事が有るので教えて下さい。
    私の知り合いで以前一緒に働いて居た人が居まして、定年退職し電気管理会社を立ち上げた人がいます。その人は会社を辞めてから勉強して電検3種の資格を取得したものと思っていました。自ら近隣の工場などの変電所の月次点検を行って居ます。私の会社に来て年次点検をやらして欲しいと言うので詳しく話を聞いて見ると自分は電検の資格は持って居なくて高齢の免許持っている人を紹介して貰い会社を立ち上げたそうで社長は自分では無くてその高齢者だそうです。変電所の点検を行っている事に付いては食って行くため無資格で行っているとの事です。私は、これは法律違反だと思いお断りしました。
    この会社を調べて見ると確かに法人登録されていました。

    規制緩和された事は知って居ますがこれは可なり酷いです何とかして下さい。
    ハローワークへも求人を出しています。
    私も猛勉強して電検3種を取得しましたが、無資格で変電所の月次点検を行うのは許せない次第です。
    貴方の力でこの不正を正して下さい宜しくお願いします。
    もし回答を頂けるのでしたらお願いします。

    • ケンタ より:

      >松原さん
      コメントありがとうございます!
      (個人が特定される情報が記載されていましたので、少し編集して公開しています。)

      私の知る限りでお答えるすると、一概に法律違反とは言えないのかなと思います。
      というのも、社長は電気管理技術者の法的な経験年数を積んでいる必要はなく、法人の誰かが法的な経験年数を積んだ「保安業務担当者」として従事していればいいからです。
      それこそ、今回のように社長は営業に徹するということもできるはずです。(この業界にいるわけではないため、断定できずにすみません。。。)

      ただ、今回は名義貸しになっているかもしれません。
      必ずしも毎回の年次点検を保安業務担当者が実施する必要はありませんが、実態として登録している保安業務担当者が全く業務をしていなければ保安監督部に刺されます。
      こういった実態が見られるのであれば、普通に保安監督部に行けば指導していただけると思いますよ。
      そして実際に指導があれば保安監督部のHPに公開されるはずです。

  3. 定年後は・・。 より:

    現在、専任で電気主任技術者をしていますが、電気管理技術者の登録を行う事は可能でしょうか? 専任期間は6年以上あります。 定年退社後では会社で証明をもらうのが難しいのです。

    • ケンタ より:

      >定年後は・・。さん
      選任(≠専任)期間は問題ないかと思います。
      実務経験の証明(≒会社から印をもらうこと)と電気管理技術者の登録をすることはセットではありますが、登録には最初のお客様を見つけておくことが必要だったかと思います。確か、お客様設備の非選任届出と実務経歴証明の提出は同時だったような気がします…
      お近くの管理技術者協会の説明会に参加することをお勧めします!

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