皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。
変圧器の電圧変動率には「厳密式」「精密式」「近似式」の3つの計算式があります。電験の問題では多くの場合、近似式で十分に対応できますが、なぜ3つの式が存在し、どこで使い分けるのかを理解しておくと、条件を変えた応用問題でも迷わなくなります。本記事では、3つの式の関係と電験での使い分けを、現役の電気管理技術者の視点で整理します【PR】。
📌 この記事でわかること
- ✓ 変圧器の電圧変動率とは何か(定義のおさらい)
- ✓ 厳密式・精密式・近似式の3つの式と、その関係
- ✓ 電験の試験でどの式をいつ使えばよいか
変圧器の電圧変動率とは
電圧変動率とは、変圧器に負荷をかけたときに二次電圧がどれだけ下がるかを表す指標です。無負荷時の二次電圧を \( V_{20} \)、定格負荷時の二次電圧を \( V_{\mathrm{2n}} \) とすると、電圧変動率 \( \varepsilon\,[\%] \) は次の式で定義されます。
電圧変動率の定義
\( \varepsilon = \dfrac{V_{20} – V_{\mathrm{2n}}}{V_{\mathrm{2n}}} \times 100\ [\%] \)
電圧変動率が小さい変圧器ほど、負荷が変わっても二次電圧が安定している良い変圧器ということになります。実際の計算では二次電圧を直接測るのではなく、変圧器の巻線抵抗とリアクタンスの仕様値から求めることになり、次の「パーセント降下」を使います。
- \( p \) : %抵抗降下→巻線抵抗による電圧降下を定格電圧に対する百分率で表したもの
- \( q \) : %リアクタンス降下→漏れリアクタンスによる電圧降下を定格電圧に対する百分率で表したもの
- \( \cos\theta \) : 負荷力率(遅れ力率を正とする)
厳密式・精密式・近似式の3つの式
電圧変動率は、もともと1つの厳密式から出発しています。それを計算しやすいように簡略化したものが精密式・近似式です。3つの式は別物ではなく、厳密式を近似していくと精密式・近似式になる、という親子関係にあります。まず、共通して使う2つの量を置きます。
共通して使う2つの量
\( \begin{aligned} a &= p\cos\theta + q\sin\theta \\ b &= q\cos\theta – p\sin\theta \end{aligned} \)
① 厳密式
ベクトル図から導かれる、近似を一切していない式です。
\( \varepsilon = \sqrt{(100 + a)^2 + b^2} – 100\ [\%] \)
② 精密式(二次近似式)
厳密式の平方根を展開して、影響の小さい高次の項を切り捨てた式です。近似式では無視される \( b \) の項(力率に垂直な成分)を、二次の項として残しています。
\( \varepsilon \fallingdotseq a + \dfrac{b^2}{200}\ [\%] \)
③ 近似式
精密式からさらに \( b^2/200 \) の項を省いた、もっとも簡単な式です。電験の計算問題では、この近似式が使われる場面がほとんどです。
\( \begin{aligned} \varepsilon &\fallingdotseq a \\ &= p\cos\theta + q\sin\theta\ [\%] \end{aligned} \)
電験の試験でどの式を使い分けるか
3つの式があると「どれを使えばいいのか」で迷いますが、判断基準はシンプルです。問題文に式の指定がなければ、まず近似式を使えば十分です。それぞれの使いどころを整理します。
使い分けの目安
- 近似式:\( p \)・\( q \) が小さく、力率が1に近い一般的な条件ではこれで十分。電験3種・2種の計算問題は原則これで対応できます。
- 精密式:力率が低い(\( b \) の項が無視できない)場合や、問題文が精密式を指定している場合に使います。
- 厳密式:近似式と厳密式の差を問う問題や、理論的な背景を問う問題で登場します。数値計算より「式の意味」を問われることが多いです。
なお、二次試験で近似式をどこまで使ってよいかは判断に迷うところです。その線引きは二次試験では近似式をいつも使って良いのか?で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。
公式は過去問で「使いながら」覚える
電圧変動率のように似た式が複数あるテーマは、式を眺めて暗記しようとするより、実際に問題を解きながら手を動かすほうが定着します。式は「覚えてから使う」より「使いながら覚える」ほうが、本番で確実に引き出せるようになります。過去問を繰り返すなかで、どの条件でどの式が問われるかの感覚も自然と身についていきます。
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まとめ
- ✓ 電圧変動率は、負荷時に二次電圧がどれだけ下がるかを表す指標
- ✓ 厳密式を近似していくと精密式・近似式になる「親子関係」で覚える
- ✓ 試験では指定がなければ近似式(\( \varepsilon \fallingdotseq p\cos\theta + q\sin\theta \))で十分
- ✓ 低力率や式の指定がある場合だけ精密式・厳密式に切り替える
電圧変動率の3つの式は、丸暗記しようとすると混乱しますが、「厳密式が本家で、近似すると精密式・近似式になる」という関係で捉えれば整理できます。まずは近似式を確実に使えるようにして、過去問で条件の違いに慣れていってください。引き続き当ブログをよろしくお願いいたします!
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