感覚で解く過渡現象 | 電験1種の棚卸し

感覚で解く過渡現象

電験2種 一次試験 理論 過渡現象

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

試験を受験された方はお疲れ様でした。

この週末は時間を見つけては今回の記事を書いておりましたが、Twitterで2種理論に過渡現象が出た!というつぶやきをみて、戦々恐々としております。

というのも、今回のテーマは過渡現象だからです。。。

「このタイミングか?!」というツッコミを想像しつつも、試験内容を入手していないので何もわからないまま書いていきます笑

さて、本日のテーマは「過渡現象」です。

パワエレ編に引き続き、これまた数回に渡るであろうテーマの初回は「感覚で解く過渡現象」です。

過渡現象って、真面目にやると微分方程式を解く必要があって、方程式を解こうにも変数分離法や特性方程式など、何パターンかの解法を全て覚えておかないといけないんですよね。

それとは別に幾つかの積分公式も覚えないといけませんし、正攻法で解くと試験時間が足りなくなることがよくあるのではないでしょうか。

実は、過渡現象って簡単な回路図であれば、何となくで\(\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}\)の立式を経ずにいきなり答えを出すことができます。

完全に私オリジナルの方法ですので、数学的正確さに関するツッコミは無しでお願いします笑 100%経験則のやり方です。
【2018.12.19更新】当記事は新電気2018年12月号にも掲載されています。

今回のゴール

今回お伝えする方法をマスターすると、

という図を見たら、

というグラフを自分でかいた後に、余白に少し数文字書くと

\begin{align}
I&=\frac{E}{R}(1-\mathrm{e}^{-\frac{R}{L} t})\\
\end{align}

をいきなり書き出す事ができるようになります。本当です笑

ということで、騙されたと思って読み進めてみて下さい。

\(RL\)直列回路

上図について電流の過渡式を作る方法について説明していきます。

STEP1.グラフをかく

先ず、グラフの概形を決めます。

スイッチを入れた直後の\(t=0\)では、コイルは電流を流そうとしないので\(I=0\)となります。十分時間が経った後は、コイルが流れを妨げるほどの電流変化が無くなりコイルは導線とみなせるようになるので、\(I=\frac{R}{E}\)に漸近していきます。

つまり、以下の図のような挙動となります。

STEP2.時定数部分を求める

こんな単純な回路の時定数を求める、と書いていることから分かるように、私は\(RL\)直列回路の時定数も\(RC\)直列回路の時定数も暗記していません。毎回導出というかなんというか、作り出しています。

今回は直流電源ですが、交流のインピーダンス\(R[\mathrm{\Omega}]\)と\(\omega L[\mathrm{\Omega}]\)を持ってきます。これら2つの比を作ると、\(\frac{R}{\omega L}\)は無次元となります。

この無次元の比に、これまた無次元の\(\omega t\)を掛けると、次元的にはもちろん無次元となます。もう少し変形すると

\begin{align}
\frac{R}{\omega L}\times \omega t&=\frac{R}{L}t\\
&=\frac{ t }{\frac{L}{R}}\\
\end{align}

つまり、\(\frac{L}{R}\)が時定数\(\tau\)となります。

少し無理矢理感がありますが、結果オーライということで。

STEP3.グラフから立式する

STEP1でかいたグラフを表す式を立てていきます。

立式の起点は

の形です。

電気現象から離れて数学的に説明していくために、\(x-y\)図としています。

過渡現象における指数関数の底は必ず\(\mathrm{e}\)となります。数学的な理由としては、微分方程式の途中で

\begin{align}
\displaystyle \int \frac{\mathrm{d}x}{x}&=\log_\mathrm{e} x+C\\
\end{align}

の公式を使うからです。

感覚的な理由としては、指数関数的な挙動をする自然現象自然対数の底\(\mathrm{e}\)で表されることが多いからです。

ということで、\(y=\mathrm{e}^x\)からスタートしまして、以下のように変形していきます。

最後のグラフの第一象限を拡大すると、STEP1のグラフと同じ形になります。

ここまで来たら、\(y\)を\(I\)に、\(x\)を\(\frac{t}{\tau}=\frac{R}{L} t\)に置き換えます。

つまり、

\begin{align}
I&=1-\mathrm{e}^{-\frac{R}{L} t}\\
\end{align}

となります。

STEP4.\(t \to \infty\)を求める

\begin{align}
I&=1-\mathrm{e}^{-\frac{R}{L} t}\\
\end{align}

ではグラフの形は合っていますが、\(t\to \infty\)のときをうまく表せてはいません。

このままでは、\(t\to \infty\)のとき\(I=1\)となってしまいます。

STEP1の図では\(t\to \infty\)のとき、\(I\)は\(\frac{E}{R}\)に漸近していきます。

つまり、頭に\(\frac{E}{R}\)を付けて、

\begin{align}
I&=\frac{E}{R}(1-\mathrm{e}^{-\frac{R}{L} t})\\
\end{align}

を作ります。

なお、

\begin{align}
I&=\frac{E}{R}-\mathrm{e}^{-\frac{R}{L} t}\\
\end{align}

としてしまうと、\(t=0\)のときに\(I=0\)となりません。

おまけ:\(RC\)直列回路

\(RC\)直列回路でも同様にして電流の過渡式を求めることができます。

STEP1.グラフをかく

説明を省きますが、以下のような形となります。

STEP2.時定数部分を求める

\(R\)と\(\frac{1}{\omega C}\)の比を作ると、

\begin{align}
\frac{\frac{1}{\omega C}}{R}&=\frac{1}{R\omega C}\\
\end{align}なります。

\(\omega t\)を掛けたときに\(\omega\)が消去されるように比を作ることがポイントです。

この比に、\(\omega t\)を掛けると、

\begin{align}
\frac{1}{R\omega C}\times \omega t&=\frac{t}{RC}\\
\end{align}

つまり、\(RC\)が時定数\(\tau\)となります。

STEP3.グラフから立式する

グラフの形から

\begin{align}
y&=\mathrm{e}^{-x}\\
\end{align}

を作れるので、

\begin{align}
I&=\mathrm{e}^{-\frac{t}{RC}}\\
\end{align}

となります。

STEP4.\(t=0\)を求める

\(t=0\)のとき\(C\)を導線とみなして、

\begin{align}
I&=\frac{E}{R}\\
\end{align}

となります。つまり、頭に\(\frac{E}{R}\)を付けて、

\begin{align}
I&=\frac{E}{R} \mathrm{e}^{-\frac{t}{RC}}\\
\end{align}

となります。

注意!!

今回説明した方法は単純な回路にしか通用しません。

\(RLC\)直列回路

なり、\(RLC\)直並列回路

では、電流の過渡式はおろかグラフの概形図もかけません。

これらの回路の電流挙動を調べる場合は、微分方程式なりラプラス変換なりを使用する必要があります。

ちなみに、\(RLC\)直列回路の微分方程式は\(\frac{1}{C}\int I\mathrm{d}t+L\frac{\mathrm{d}I}{\mathrm{d}t}+RI=E\)となります。また、\(RLC\)直並列回路の微分方程式は\(\frac{1}{C}\int I_1\mathrm{d}t+L\frac{\mathrm{d}I_1}{\mathrm{d}t}=RI_2=E\)となります。

なぜ、ここで機械・制御に出てくる「ラプラス変換」が登場してきたかは次回のお楽しみということで…

まとめ

今回の方法は

  • 特性方程式や積分公式をど忘れしたときや
  • 時間短縮したいとき

などに使うと便利な方法です。

過渡現象にはこれ以外にも、ショートカットできる方法がもう1つあります。

(私が知っているのがもう1つというだけで、他に沢山方法があるかもしれません。)

それでは次回!

もう1つの方法を完結編で書きました!
苦手意識を持つ過渡現象でも、ラプラス変換を使うと幾分計算が楽になり、微分方程式を覚える手間が省けます。制御問題以外でラプラス変換を使う単元が実はあったんです!本日はそんなお話です。

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コメント

  1. 梅三郎 より:

    こんにちは。

    先週末2種を初受験しました。まさかの電力だけ落としてしまいました。48点(53.33%)...
    電力は自信があり、おごりもあったようで、「これだけ」にはほとんど目を通さず過去問だけ回してたのがひびいたようです。「理論は落としてもしょうがないか..」という心の準備とは裏腹に、落としたのは電力...
    「まぁ、どの道 二次試験の勉強が落ち着いてできると考えよう...」と居直ってます (爆

    理解がうざうざな数学から土台の理論も含め、きちんと基礎を固めようと考えながらネットをさまよっていて、ここにたどり着きました。

    これから記事を読ませていただきます。
    ご挨拶まで。

    • ケンタ より:

      >梅三郎さん
      コメントありがとうございます!

      電力惜しかったですね。。
      私が初めて2種を受けた年は法規を落としてしまったので、次の1年間は二次試験との重複が無い勉強が面倒でした笑
      機械よりも電力の方が重複箇所が多いので、梅三郎さんはベストなリーチを掛けられたのではないでしょうか。

      当ブログは参考書で説明しないようなところをクローズアップして、我流の説明をしています。記事要望も受けていたりします。

      今後ともよろしくお願いします。

  2. 暴れん坊将軍  より:

    はじめまして。
    私も先日の2種一次試験を受験、機械を落とし来年は法規が復活です。
    もう6年が過ぎて小学校を卒業した感じです。(50歳手前の77KV施設管理者です。)
    来年の2次を目指し計画を立て直す段階ですが、過去問からの出題頻度の解析
    術を教えて欲しいです。あと、勉強の方法やノートの取り方など、、、
    今回の過渡現象はとても理解しやすかったです。今後とも楽しみに拝見させて
    頂きます。

    • ケンタ より:

      >暴れん坊将軍さん
      コメントありがとうござます!
      科目が復活してくるとモチベーションの維持が大変になってきますよね。

      さて、出題頻度の解析についてですが、機械・制御に関しては過去記事でやっております。

      電験2種二次試験は範囲が広大であるため、勉強時間が無間に必要に感じます。9月を過ぎると二次試験まであと3ヶ月を切り、段々焦りが出てきます。今回は時間がない受験生のためにヤマを張ってみました。参考にするのは自己責任ですが、なかなか面白い結果となりました!
      ここでは出題分野の予想までですので、その分野の中では何年の過去問の類題が出ると予想することまではしておりません。(そこまでの予想は不可能かと感じております。)
      電力・管理に関しては論説も入ってくるので、予想しにくいと感じているところで、記事にしない予定です。

      電験2種ならば、新制度(平成7年度)以降の過去問を簡単に入手できます(電験二種完全攻略と試験センターの過去問を合わせるだけです)ので、その中から予想するしかないかと思います。

      とは言うものの、出題予想をするよりかは、頻出となる解法から潰していくのが効果的だと個人的には感じています。

      今後とも当ブログをよろしくお願いします!

      • ケンタ より:

        勉強の方法やノートの取り方については、長くなりそうでしたので記事にしてみようかと思います。

      • 暴れん坊将軍 より:

        ケンタさま
        コメントありがとうございます。
        今後ともいろいろな情報や解法を楽しみにしております。
        何よりも「継続」が大事ですから、毎日更新を目標でなく
        、更新出来たらええなぁ~の気持ちで。
        年を重ねると記憶力の低下がしみじみ感じております。

  3. ケンタさんはじめまして!電験三種を合格して電験二種を目指すためにケンタさんのブログをすごく参考にしてます。
    ところで『感覚で解く過渡現象 』でSTEP4.t=0を求める。 I=REと記載されてますが I=E/Rの誤植ではないでしょうか。もし間違えていたらごめんなさい。

    • ケンタ より:

      >スカイビューさん
      コメントありがとうございます!
      参考になるところがあり恐縮です!

      さて、「誤植か?」のところですが、確かに誤植でした笑
      謹んで訂正させていただきます。
      ありがとうございました。