過渡現象

【番外編】過渡現象にラプラス変換を適応できる理由

皆さまお疲れさまです。ケンタ(@den1_tanaoroshi)です。

 

以前の記事で計算を省略していたところを、少し丁寧に解説してみます。

そこでは「専門書をご確認して下さい」としていましたが、ラプラス変換の専門書は普通の本屋においていないことが多く、実際に本屋に行っても無駄足になる可能性があると思い、記載してみました。

ですので、今回はいつにも増して数学的な記事になります。面白みは、、、ありません笑

前回計算を省略していた式

以前の記事で説明していたラプラス変換式は以下の3つとなります。

0estEdt=Es0est[Ldidt]dt=LsI(s)0est1C[0tidt]dt=I(s)Cs

ケンタ
ケンタ
これを全部説明するために計算式を記述するのは結構面倒そうですね…

定電源のラプラス変換

0estEdt=Es の計算です。

0estEdtについて、の中のsは定数として扱えて、これを部分積分すると

0estEdt=[1sestE]00(1sest×0)dt=Es

となります。

E一定なのでt微分すると0となります。

コイル部分のラプラス変換

0est[Ldidt]dt=LsI(s) の計算です。

これも部分積分を使用します。

didttで積分するとiに戻ることに注意して、

0est[Ldidt]dt=L[esti]00(s)estidt=Li(0)+sI(s)=LsI(s)Li(0)(1)

初期条件が登場…

以前の記事では特に初期条件に言及していなく、暗黙の内にi(0)=0としていました。しかし過去問では、初期条件としてt=0で既に電流が流れていたりします。この初期条件をラプラス変換に盛り込むと、式(1)のようになります。

つまり、LsI(s)を電圧降下する方向で考えると、Li(0)は電圧上昇する方向に電圧素子として表記されることになります。

コンデンサ部分のラプラス変換

0est1C[0tidt]dt=I(s)Cs の計算です。

コイルのときと同様に全体の部分積分をする前に、合成関数の微分をしていきます。

詳しいことは省略しますが、微分は分数のように扱えるので、

estdt=estdtdestdest=estdestdtdest=estsestdest=dests

となります。これを使うと、

0est1C[0tidt]dt=1C0[0tidt]dests=1C([0tidt×ests]00iestsd)=1Cs[0tidt×est]0+1Cs0estidt(2)

となります。

 

ここで、

[0tidt×est]0=0idt×e00idt×e0=00=0

となります。

定性的な説明となりますが、定電圧電源の回路であるためi少なくとも指数関数的に発散しないと考えられます。そのため、iは一定値に収束もしくは振動して、0tidtが変化するよりも圧倒的に早くestが0に収束します。
00は問答無用で0です。積分値を曲線の面積と考えると、厚みが全く無いからです。

また、定義通り

0esti(t)dtI(s)

となります。

 

これらを式(2)に代入して、

0est1C[0tidt]dt=I(s)Cs

となります。

初期条件は意図的に紛れ込ませる

コイルのときと違って、コンデンサの計算では意図的に初期条件を組み込まないと、ラプラス変換後に初期条件が現れてきません。

どういうことかというと、

0est1C[0tidt]dt

に初期電荷Q0

0est1C[0tidt+Q0]dt

と紛れ込ませます。

 

これを計算していくと、

0est1C[0tidt+Q0]dt=0est1C[0tidt]dt+0estQ0Cdt=I(s)Cs+Q0C0estdt(3)

となります。

 

ここで、

0estdt=[1sest]0=1s

となるので、式(3)に代入すると

0est1C[0tidt+Q0]dt=I(s)Cs+Q0Cs

となります。

ケンタ
ケンタ
初期電荷Q0ではなく初期電圧v0が与えられていたときは、0est1C[0tidt+Cv0]dt=I(s)Cs+v0s
となります。

つまり、I(s)Csを電圧降下する方向で考えると、Q0Csも電圧降下する方向に電圧素子として表記されることになります。

まとめ

今回は部分積分尽くしの記事となり、右(微分)を見ながら左(積分)を見るような内容となってしまいました。

 

結構混乱する内容でしたが、

LsωL,1Cs1ωC

交流回路のインピーダンスと対応して覚えてしまえば単純です。

 

それでは次回!

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