エネルギー管理士の試験科目の中で、電験の知識が最も通用しにくいのが課目Ⅰです。
課目Ⅱ・Ⅲ・Ⅳが電験2種レベルの電気計算中心なのに対し、課目Ⅰでは省エネ法・エネルギー情勢・管理技術(熱計算)という別系統の知識が求められます。
本記事では、電験1種保有者の筆者が実際に過去問(平成27年度)を解いた結果をもとに、課目Ⅰの構成・各問題の傾向・合格ラインを確保する攻略戦略をお伝えします。
課目Ⅰの試験構成(200点満点)
課目Ⅰは試験日の最後(4時限目)に実施される科目で、電験3種の「法規」に相当するポジションです。
配点は以下の3問構成になっています。
- 問題1(50点):エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令(省エネ法)
- 問題2(50点):エネルギー情勢・政策、エネルギー概論
- 問題3(100点):エネルギー管理技術の基礎
合格ラインは60%(120点以上)が目安です。配点の半分(100点)を占める問題3(管理技術)でどれだけ稼げるかが、課目Ⅰ合否の分水嶺になります。
エネルギー管理士と電験の関係
電験の受験者の間では「エネルギー管理士は電験2.5種」と言われています。
具体的には、電験2種の一次理論で出る複素数計算や、二次試験に近いラプラス変換を使った制御問題が選択肢付きで出題されるイメージです。電験2種の学習を経た方であれば、課目Ⅱ・Ⅲ・Ⅳはほぼ対応可能な範囲です。
ただし、課目Ⅰだけは別物と考えてください。
省エネ法の条文・エネルギー情勢・熱工学という3軸は、電験3種や2種の学習ではほとんどカバーされていません。「電験2種を合格した実力があれば課目Ⅰも余裕」という判断は危険です。
問題1:省エネ法(50点)の傾向と対策
省エネ法は電験3種の「法規」と出題形式は似ていますが、扱う条文は全く別です。
出題パターンは大きく2種類あります。
- 条文の穴埋め:省エネ法の主要条文から頻出キーワードを選ばせる形式。電験法規の感覚では「文章の雰囲気」で解けず、条文の具体的な数値・用語を覚えている必要がある
- 計算問題:事業所のエネルギー使用量を原油換算し、省エネ法が規定するエネルギー管理士の配置人数を求める。出題パターンが安定しているため、過去問3年分で典型問題はほぼカバーできる
筆者の実際の得点は21/50点(42%)でした。
課目Ⅱで98%取れた筆者でも、省エネ法の条文をほぼ読んでいない状態で臨んだ結果がこれです。「電験がわかれば解けるはず」という先入観のまま受験すると、問題1で大きく失点するリスクがあります。
対策の優先度:問題1の条文穴埋めは省エネ法テキストか過去問解説で主要キーワードを整理しておくこと。計算問題は過去問3年分を解くだけで十分です。
問題2:エネルギー情勢・概論(50点)の傾向と対策
この問題の特徴は時事性の高さです。電験の学習範囲とはほぼ重なりません。主な出題ジャンルは以下のとおりです。
- 原油市場の動向(1バレルの換算単位・シェールオイルが原油価格に与えた影響など)
- エネルギー関連の統計数値(特定年度の先物価格・エネルギー消費量の推移)
- 照明の基礎計算(光度の定義式に数値を代入して解く問題)
筆者の得点は29/50点(58%)でした。照明の光度計算は電験2種以降で取り上げることもある単元ですが、「基本的な公式に代入するだけ」の問題で落としてしまいました。
満点を狙う科目ではなく、30〜35点を確保して問題3の得点で補う戦略が現実的です。以下の2点だけ事前に確認しておきましょう。
- エネルギー白書の概要版:受験年の前年度分を一読し、主要なエネルギー消費・供給のトレンドを把握する
- 照明の光度・照度・輝度の定義式:過去問1〜2年分で計算問題のパターンを確認する
問題3:エネルギー管理技術の基礎(100点)の傾向と対策
課目Ⅰの配点100点を占める問題3は熱工学の計算問題が中心です。


熱伝導・流体・燃焼・熱交換といった熱工学の各分野から計算問題が出題されます。電験2種の学習を経ていれば、基礎的な計算式の多くは見慣れた形で出てきます(「WhとJは次元が同じ」という感覚で電気と熱が繋がってくる部分です)。
電験受験者にとって課目Ⅰで最も得点を稼ぎやすい分野がここです。
筆者の得点は75/100点(75%)でした。問題1・2で失点した分をここで取り返す、という展開になりました。なお、2問ほど解けなかった問題が残りましたが、これは電験1種の学習で意識的にスキップしていた熱工学の単元です。
電験2種相当の熱計算が得意な方は80〜90点以上も十分狙えます。問題3を得点源として確実に仕上げておくことが、課目Ⅰ合格の鍵です。
まとめ:課目Ⅰの合格戦略
筆者の課目Ⅰ総得点は125/200点(62.5%)でした。合格ライン(60%)をかろうじてクリアしています。
電験1種保有者でも省エネ法・エネルギー情勢は無対策では苦戦します。課目Ⅰの攻略戦略を3点でまとめます。
- 問題1(省エネ法):過去問3年分で典型パターンを押さえる。電験法規の感覚では対応不可。条文のキーワードだけ頭に入れておく
- 問題2(情勢・概論):エネルギー白書の概要確認+照明計算を過去問で補強。満点より「30点以上確保」に徹する
- 問題3(管理技術):電験2種レベルの熱計算を高得点源にする。ここで稼いで問題1・2の失点を補う
「電験2種も受けるからエネ管は手を抜こう」という方も、課目Ⅰの省エネ法だけは過去問3年分を解いておくことを強くお勧めします。ノーマークのまま受験すると、合格ライン割れのリスクがあります。
課目Ⅱ以降(理論・機械・電力相当)の傾向と分析については、別記事でまとめています。電験2種の学習を積んだ方なら課目Ⅱからは一気に得点しやすくなります。
※ 本記事の過去問解説は平成27年度試験を参照しています。省エネ法の改正や出題傾向は年度により変わる場合があります。受験前に最新の過去問も必ずご確認ください。




エネ管のシリーズお疲れさまです^_^
一記事当たりものすごいエネルギーを感じます。
毎度読み応えがあり、更新楽しみにしています。
どうぞ引き続き無理の無い範囲で更新なさってください!
技術士補、興味があるもののどんな試験か良く理解していないので、次回の記事楽しみにしています^_^
>やまさきさん
コメントありがとうございます!
ビルメンとあまり関係のない資格になりますが、技術士補は他のブログで取り上げられることが少ないのもあり、紹介してみます。
今年エネルギー管理士の3科目(電気基礎以外)を狙っています!
電験3種の機械、法規残しなので+αで機械がもろ被りの科目3,4を中心に勉強してます!
今年エネ菅3科目受かれば来年は電験2種+電気基礎とステップアップと考えています。
僕は高校普通科卒(数学のレベルは中学レベル、算数は小学3年生レベルからスタート)なので計算が辛いですが(^_^;)
機械の解説をする機会があれば自動制御全般をエネ菅程度までを視野に入れて欲しいな!と思ってます!
いろいろコメントしたいですが、とりあえずブログ頑張ってください!
>トマトプリウスさん
コメントありがとうございます!
自動制御の記事、承知です!
エネルギー管理士の試験は今週末ですね。それまでに書きたかったのですが、諸事情で間に合いそうにありません。申し訳ないです。
電験2種まで視野に入れてるのでしたら、今年は3科目と言わず、是非受かって勢いをつけて下さい!
私も更新頑張ります!!